My Sweet Darling
リビングの窓から僕はソワソワしながら外を眺める
外は手入れの行き届いた庭が広がっているけれど、特に何か特別なものがあると言うわけじゃない
僕の視線はそのずっとずっと先にある屋敷の正門
『ここから正門が見えているのかい?』
とあの方は酷く驚いた顔をされた
それもその筈で、普通ならばこのリビングからは正門は遠すぎて見えない
けど、僕は視力が良いので見える
そう言うとあの方はにっこりと美しく笑った
『では、スザクは何の為に正門を見ているの?』
教えて?とあの方は優しく聞いてきた
けど僕は 秘密 と決して教えなかった
何故って
ちょっぴり恥ずかしいから
小さな子供じゃないのに、こんな風にソワソワしながらあの正門が開くのを待っている、なんて知られたくなかったから
「・・・・あっ!帰ってきた!」
そうしているうちに正門が開いた
そして入ってきたのは真っ黒な一台の車
僕は急いで玄関へ走る
僕が待っていたのはこの時のため
この方の為
「ただいま、スザク」
大好きな
とっても大好きな
シュナイゼル様の為
「お帰りなさい、シュナイゼル殿下」
最高の笑顔で
一番最初に『お帰りなさい』と言うために