『手に入らないものなら、いっそ奪うまで』
ブリタニアにいた頃
皇子という身分からそれなりに優遇されていた自分
あれが欲しい、これが欲しいと強請った事は無いが、望むもので手に入らない物はなかったように思う
だがそれも母の死で一変
贅沢品どころか、必要最小限なモノしか手に出来なくなってしまった
そんな不自由な生活を送っていた日本での生活
その中で見つけた新しい『欲しいもの』
いや、欲しい人
名を枢木スザク
もしかするとあのまま戦争が起こらず、スザクとナナリーと三人であの土蔵で過ごせていたのならここまで執着しなかっただろう
だが戦争は起こり、自分たちは離れ離れになってしまった
そして七年後に再会
憎しみあい、その後二度目の別れ、そして・・・
「なかなか楽しいだろう?殺したいほど憎んでいる男に捕らえられるのは」
俺は一年前に体験したので、知っているんだ とゼロいやルルーシュは口の端を上げて笑う
手足を縛られ身動きできないスザクは、視線だけで人を殺してしまいそうなほどの鋭い目でルルーシュをにらみつけていた
ルルーシュはその目に満足したように高らかに笑う
「ハハハハ!良い!良い目をしている」
ルルーシュは笑いながらスザクの頬を殴った
「憎いだろう?俺殺したいだろう?それとも死にたいか?だが、殺されてもやらないし死なせてなどもやるものか」
大人しくブリタニアで皇帝に尻尾振っていれば良かったのだ
白き死神などと恐れられる戦場で飛んでいれば良かったのだ
再び現れた『ゼロ』などに目を向けるからだ
ルルーシュが『ゼロ』に戻っているかもしれないと確かめに来るからだ
「お前は自ら俺の手の中に落ちたようなものだ
お前にはもう髪の一本すら自分の権利を主張することは出来ない
何故ならお前は俺の捕虜だからだ」
何を馬鹿なことを スザクが小さく呟いた
だが聞こえている筈であるのにルルーシュはその言葉を無視した
「お前は・・・俺のものだ・・・スザク」
手に入れたい
欲しいと思った
枢木スザクという人間を
だが彼はいつだって手に入らない
手を伸ばせば簡単に自分のものに出来そうなのに、いつだってすり抜けてしまう
だったら
「もうお前には自由は無い
お前は俺のモノだ」
すり抜けないように
誰にも奪われないように
誰かの物になっているのなら、その誰かから奪い、この手に入れれば良い
そう
手に入らないものならば、いっそ奪うまで