苦しげに繰り返される呼吸
まるで救いを求めるように握られた手はどんどん力が抜けていく
「・・・もういい・・・・もう、頑張らなくても良いんだ・・・」
もうこれ以上苦しむ姿を見ていたくなかった
だからついこんな事を言ってしまった
すると目の前の「彼」はフッと微笑んだ
そして小さな声であの言葉を告げた
『ずっと待ってる』
「・・・随分と苦しんだが、死に顔は笑っていたぞ」
広大な土地に作られた皇族専用墓地
そこで膝を抱えて蹲る人物にルルーシュは背後から声をかけた
「・・・・スザク」
名を呼んでもスザクは振り返らない
声一つ出さない
きっと泣いているんだろう
ルルーシュは溜息をはくとスザクの隣へと腰を下ろした
『ずっと見ていてください、貴方方の血の行く末を
そしてその命の終わりには必ず会いに来てください』
それは、随分昔に別れた子供の一人が言った言葉
ルルーシュとスザクは「必ず」と固くその子供に誓った
「・・・また一人いなくなっちゃった・・・」
「そうだな」
「・・・・ひっく・・・」
肩を震わせて泣きはじめたスザクを抱き寄せてルルーシュは目を閉じた
『必ず会いに行く』
そう約束したものの、結果としてスザクが会いに行った事はない
行くのは常にルルーシュ一人だ
「・・・・泣くな。お前は独りになったわけじゃない・・・俺がいるだろう?」
「・・・うん・・・」
「俺達はずっと一緒だ。悲しい事も辛い事も二人で分かち合おう、そう言ったのはお前だろう?」
「・・・うん・・」
「だからそんな風に一人で悲しみを抱えて泣かないでくれ・・・」
ルルーシュがそう言うとスザクはルルーシュの腕の中へと飛び込む
震える身体を強く抱きしめてルルーシュは空へと視線を上げた
****
ブリタニアの皇帝になって国と世界を変えた
そしてその後を継ぐ子供たちも残した
やるべき事はすべてやったと、ルルーシュはC.Cに告げたのは遥か昔の出来事
「・・・後悔しないのか?」
「しない」
「・・・だが・・・ルルーシュ・・・」
「良いんだ・・・始めからこうするつもりだった。お前にはこんなに待たせて悪かったと思っている」
ルルーシュはC.Cに向かって手を差し出した
そして小さな声で「コードを」と告げる
「・・・」
「どうした?やっと不死の地獄から抜け出せるんだぞ?」
嬉しくないのか?と問うルルーシュにC.Cは頭を左右に振った
「そして今度はお前がその地獄を味わうのか?お前はそれで良いかも知れない。だが、残される家族はどうなる?」
「・・・」
「アレクシスにもブリタニアにもお前はまだ必要だ。それに・・・スザクは・・」
「C.C。もう良いんだ」
ルルーシュは目を閉じて微笑む
その心に浮かぶのはスザクと子供たち
スザクはもう以前の彼ではない
死を願っていた彼ではない
今の彼には彼を笑顔にしてくれる子供たちの存在があるのだ
その子供たちの為に、彼はきっと生きることを望んでくれるだろう
「もう、スザクもこの国もこの世界も笑って生きていける
もう・・・・大丈夫だ」
C.Cはジッとルルーシュを見つめた
何か言いたそうに口を開いたが、その直後驚いた表情でルルーシュの後ろを見つめる
ルルーシュはそんなC.Cに気が付き、後ろを振り返った
「・・・・お前・・・」
「・・・・何が大丈夫なんだよ?何が笑って生きていけるだよ?」
嘘を言うな
振り返ったそこにいたのは目に涙を溜めたスザクだった
「スザク、俺は・・・」
「いつか君がC.Cのコードを引き継ぐ、そう言うんじゃないかって予感があった」
「・・・」
「君の事だ。きっとずっと前から決めて、そう行動していたんだよね?そしてその意思は時間が経っても変わらない」
なら、とスザクはルルーシュの手を取って握り締めた
「僕も君と一緒に生きる。V.Vのコードを僕が継いで君と共に」
「っ、馬鹿かお前は!」
「馬鹿は君だ!・・・今の僕は君無しじゃ生きられないんだよ?君がそうしたんだ」
「・・・」
「君は責任とって僕とずっと一緒にいて。・・・そして・・・悲しみも苦しみも分かち合って生きていこう」
その言葉は嬉しかったのか
悲しかったのか
この時の感情をルルーシュはよく覚えていない
ただひとつ覚えているのは
この日から二人で終わりのない旅に出たと悟った事だけ
****
「・・・スザク、もう泣くな」
「・・・」
「俺達は独りじゃない。それに・・・皆にはまた会えるさ」
すんっと鼻をすすりながらスザクは顔をあげた
ルルーシュは濡れた頬に口付ける
「『ずっと待ってる』・・・はは、何人目だろうな?皆同じ事を言うんだ」
「『待ってる』?」
ああ、とルルーシュは頷く
「アレクもマリアンヌもロイドもジノも、その後に生まれた子供たちも皆言う
『ずっと待ってる』」
『Cの世界で。いつか二人が自分達の所に戻ってくるその日まで・・・・』
「『ずっと待ってる』・・・・だから帰ろう・・・いつかきっと・・・皆の所へ」
終わりのない旅を終わらせて
皆の待つところへ
ふと思いついた『華麗なる一族』の最後・・・
ルルはブリタニアと世界を変えた後コードを受け継ぎ不死に
そう行動するだろうと予想していたスザクはV.Vからコードを受け継ぐ契約を結ぶ(結んでいた?)とかなんとか・・・
なんとなくバッドエンド・・・・
『ずっと見ていてください・・なんやらかんやら』のセリフはアレクシスの発言
それに従ってルルーシュとスザクは歴代皇帝の誕生と死をずっと見てきた(スザクは耐え切れなくて直前で逃亡・・・)
ルルとスザクはコードの謎を解き明かし、不死でなくす方法を探している・・・とか??(何故に疑問系?)