ルルスザ44歳 マリアンヌ9歳
「あぁ?反対に決まってるだろう?」
「・・・馬鹿ルルっ!」
僕が娘の初恋を邪魔する訳
六歳の時に淡い初恋をしたマリアンヌ
ジノもなんやかんやと彼女に付き合ってくれている
それが皇女と臣下の関係であったとしても、嬉しそうな娘の顔を見れてスザクは満足だった
だが、満足しない男が一人・・・
「マリアンヌとジノを遊園地でデートだ?・・・その日はジノをロシアに派遣だ!」
「こら!どうして君はそうなんだ!!」
マリアンヌの父にしてスザクの旦那。そしてこの国の皇帝ルルーシュ
34も歳の離れた云々 という理由から、二人の仲を邪魔するスザクの最大にして最悪の敵
スザクが二人を会わせようと動けばどこからともなく情報を仕入れ、ジノを出張させたり
デートを計画すれば何故かルルーシュもついてきている
最近では引退した筈のジェレミア卿がマリアンヌの側にいて、「殿下とお話したければ私を倒す事だ!」とジノの前に立ちはだかる始末(勝てないわけではないが、遠慮してしまうジノだった)
「どうして邪魔するの?あの子は大人の男の人に憧れているだけだよ。もっと大きくなったら歳の近い人と・・・」
「お前は甘いな。マリアンヌは俺の娘だぞ?俺が惚れたら一筋なのは知っているだろう?」
ルルーシュはスザクを伴侶と決めてからスザク一筋だ
夫婦になるまで色々あったが、とにかくスザク一筋だ
「その俺の娘がコロコロと相手を変えるか!お前じゃあるまいし」
「ちょ!僕が何?」
「俺、ユフィ、ジノ、・・・ロイドもか・・・そして、一時期はシュナイゼルだろ?」
「シュ・・・僕はあの人にそんな事想った事はないよ!」
「ほぉ・・・じゃあジノは認めるんだな?」
「うっ!」
スザクはたらりと汗を流す
そんな妻の表情を見てルルーシュはピクリと眉を吊り上げた
「やっぱりジノは辺境基地に左遷「止めろ!馬鹿ルル!!」」
思わずスザクはルルーシュの鳩尾に懇親の一撃を繰り出した
「ぐぇ!」という蛙がつぶれたかのような声を出して悶絶している夫をそのままにしてスザクは部屋を出て行った
****
「と、言う訳でジノにプレゼントを作ろう。マリアンヌ」
「はーいv」
と、いってもスザクは裁縫や料理が得意ではない
一通り出来るが、如何せん近くにいる人が完璧に何事もこなす人(ルルーシュ)なので、寧ろ下手だと思っている
そしてマリアンヌも子供
その二人で簡単に出来る物といえば・・・・?
「・・・・とりあえずプリンあたりから・・・」
「ロイド先生の大好きなプリンv」
二人は早速調理に取り掛かった
(それにしても、ルルーシュはどうして反対するんだろ?歳が離れてるっていうのは解るんだけど・・・)
スザクは隣で一生懸命かき混ぜているマリアンヌを見た
自分と同じ茶色い髪、翠の瞳
けれど自分よりも可愛い娘
自分があまり幸せな子供時代を送っていなかったからか、子供達には幸せになってほしかった
勿論子供全員に思っていることだがマリアンヌには特に思うのだ。きっとそれは外見が自分に良く似ているから
だからだろうか
彼女の幸せが自分の幸せのように思えるのだ
「お母様、混ざりました」
「上手だね」
「えへへ」
(なのに・・・あのクソルル!!)
どぼどぼとスザクは大きな容器にマリアンヌが混ぜたものを流し込んだ
注:マリアンヌはその横で普通サイズの容器に流し込んでいます
「お・・・お母様?大きいですね・・・」
「うんvお父様に食べてもらうんだよVv」
「・・・・・」
プリン大好きなロイドなら喜んだかもしれないが、あの父はこれをみて喜ぶだろうかとマリアンヌは思う
※バケツサイズ
しかしあまりにスザクが黒い笑顔だったので、マリアンヌには何も言えなくなった
****
「・・・くそ・・・スザクめ・・・殺す気か」
スザクが出て行った後、ルルーシュは一人悶絶していた
そこへジノがやってくる
「陛下・・・・・何やってるんです?」
実は先程までルルーシュとスザクが話し合っていたのは執務室
ジノはそこに帰ってきたのだ
「・・・お前のせいだ・・・」
「スザク、ですか・・・はぁ・・・」
ジノは苦笑するとルルーシュの正面へと立った
そして手にしていた書類を机の上に置き、ルルーシュに微笑みかける
「もうスザクの邪魔をしなければいいのではありませんか?」
「・・・俺がどうしてスザクの邪魔をしているか、解っているだろう?」
「・・・・」
「・・・・」
数秒間、二人は無言で見つめあった
そしてジノは「フッ」と笑う
「・・・ああ・・・そうでしたね・・・」
「だから邪魔をする・・・マリアンヌはお前とはデートさせない」
ルルーシュは冷たくジノを見つめた
ジノはクスリと笑うと、ゆっくりと一礼し部屋を後にした
「スザク・・・ジノは駄目なんだ。アイツは 」
僕が娘の初恋を邪魔する訳
それは .
おや?・・・雲行きが・・・・?