「ああああ・・・ありえないっつーーーーーのぉぉぉぉ!!」






すがすがしい早朝
スザクの叫び声が響き渡った







Re Start








「お母様?どうかなさったんですか?」


15歳の娘マリアンヌがスザクの声を聞き慌てて部屋にやってきた


「なんでもない!なんでもないから出て行って!」
「・・・お母様?」


マリアンヌが飛び込んだ父と母の寝室のベットの上でスザクはシーツに包まっていた
これではなんでもないと言われても引き下がる事等出来ない

マリアンヌはぐいぐいと母のシーツを引っ張った


「お母様!どうなさったんです、かーーー!!
「ぅわーー!マリアンヌ、シーツが裂けちゃうよ!?」
「お母様が大人しくお顔を見せてくれれば引っ張りません!」


顔だけじゃなくて体力馬鹿も遺伝したのか・・・
それはルルーシュの言葉
まだ小さい頃の彼女と庭で追いかけっこをした時の感想だ

それはルルーシュが歳をとっただけなんじゃ・・・とスザクは笑ったのだが、その後でスザクが追いかけっこをした時に同じ事を思った

マリアンヌは母に似て体力馬鹿だった
そして、腕力もそれなりにあるらしい・・・


「やーめーてぇぇーー!」
「いーーーやーーーーでーーーーすぅううううう!」


スザクの抵抗むなしく、シーツはびりびりと無常な音をたてて破かれた







「まぁ、お母様・・・・・・ですよね?」
「そうだよ!なんで『?』なの!?」


殆んど逆ギレしているスザクはベットの上で吼えていた
しかしマリアンヌが「?」と思うのは当然であった
今のスザクはマリアンヌが知るスザクではなかったからだ


「なんでこんな事になっちゃってんのぉ・・・?」


徐々に涙目になりつつあるスザクは随分と幼かった
いや、幼いとは正しくない
若かった
今年で50歳である筈なのに、その姿は今のマリアンヌと余り変わらない様に見える
そして・・・


「・・・お母様・・・女性の方・・・になってますよね?」
「もぉ嫌だーーー!」




今朝の目覚めは最悪だった
身体がだるくて酷い汗をかいていた

そこでシャワーを浴びようとバスルームに向かい・・・・自分の体の異変に気がついた


『な・・・ななな・・・』


あるはずの無い胸の膨らみ
あった場所に無いもの
僅かに下がった目線


『なんじゃこりゃああああ?』


女になった自分の体

落ち着け・・・冷静になれ・・・と言い聞かせ、パジャマを着て部屋に戻った
そして全身が確認できる鏡の前に立った時に冒頭の叫び声をあげたのだった


『ああああ・・・ありえないっつーーーーーのぉぉぉぉ!!』






「女性になって若返った・・・ですか。お母様、何か心当たりは?」
「あるわけないだろう?」
「何か得体の知れないものを口にした、または投薬された・・とか」


親で50にもなるおっさんになんて事を・・・とスザクが口に出そうとした瞬間、昨夜の事を思い出した


「あ・・・!」
「あるんですか?」
「昨日の夜・・・」




昨日の夜、スザクは一人でこの寝室へとやってきた
ルルーシュはサミットの為ブリタニアを出ている
寂しいな・・・と思いつつベットで横になった

その時に気がついたのだ
枕元に置かれた小さな包み

メッセージカードもつけられていて、宛名はルルーシュ。差出人はクレアという女性の名前

イラっとしながら包みを開けると赤いキャンディが3粒
スザクは迷わずそれを口にした




「・・・どうしてそんな物を口にするんですか?」
「だって・・・腹がたったから・・・ルルーシュに・・贈り物・・なんて・・」
「つまり嫉妬したと、スザクは可愛らしいな」
「「!?」」


いつの間に現れたのか、ジノが楽しげに笑っていた


「ジノ?」
「ジノ様?」
「あの方が今更お前以外興味を持つと思うのか?っと、おはようございます、殿下」


ジノはマリアンヌの手をとり口付けた
マリアンヌはポッと顔を赤らめて、ジノと見詰め合う


「・・・ちょっと・・・二人だけの世界に浸らないでよ・・・」
「あ!ごめんなさい」
「悪いな、スザク」


ジノは改めてスザクへと顔を向ける
そしてじーーーーーっとスザクを見つめた


「な・・・なに?」
「いや・・・お前と殿下って本当に似てるんだな と」
「ええ。まるでユーフェミア姉様とユージニア姉様みたいにそっくり」


マリアンヌはスザクの隣に座った
並ぶとジノたちの言うとおり、二人はそっくりだった
スザクの髪が短い事を覗けば・・・


「・・・とにかく、そのクレアという女性に話を聞こう」
「でもお名前しか解りませんよ?」
「ルルーシュの・・皇帝の部屋に入れる人間はごく僅か。しかもそれはここに務める女官だ」
「そういう事。女官から話を聞いてくるよ。スザクは用意をしてから出ておいで」
「うん・・・・は?用意?」


ジノが去った後、スザクはニッコリと笑うマリアンヌに捕まった






「・・・お前は性格も僕似だと・・・」
「お父様の子供でもありますものvアレク兄様もきっとお喜びになりますわ」


スザクは長い茶色のウィッグをつけてロングヘアになっていた
そして着ているものは薄いグリーンのドレス
アレクシスが「着てください」と押し付けた物だ(勿論ぶっ飛ばした)
それをマリアンヌは嬉々としてスザクにそれを着せたのだ


「・・・こんな姿で人前に出たくない・・・」
「大丈夫です。今のお母様は10代後半。そして女性ですもの。誰も枢木スザクだとは解りません」
「・・・そうかなぁ・・・」
「きっとお父様でもわからないと思います」


いや、あの男は解るだろう 
スザクは心の中で突っ込んだ

しかし何時までもこのまま部屋にいるわけにもいかない
全てを元に戻すためにも行動せねばならないのだ


「・・・仕方ない・・・いくぞ」


スザクはもうどうにでもなれ と部屋を出た









****


国立 ブリタニア学園
中等部・高等部・大学部の3学部からなる学校
十年ほど前にルルーシュの指示で創られた
恐らく嘗て自分が通ったアッシュフォードをモデルにしているのだろう
制服や外観、そして環境などが良く似ていた


「その高等部のクレアという化学部の学生」
「そいつが陛下へ例のプレゼントを持ってきたらしい」
「・・・何の目的で?」
「さぁ?女官も頼まれただけで、そこまでは」


ジノが手に入れた情報はあまりにもお粗末なものだった
例のプレゼントはクレアという学生が持ってきたものらしい
本来ならそれを護衛の者に見せ、内容物の全てを調べなければならない。だが、それを受け取った女官は何の疑問も無くそれをルルーシュの寝室に置いたというのだ
それは皇帝の住居に勤める女官としては失格ともいえる行為なのだが、今はそんな事を言っている場合ではなかった


「何が目的か知らないけど、ぶっ飛ばさないと気がすまない!」
「・・・女の子かもしれないでしょ・・・」


グッと握り拳つくりめらめらと炎を燃やすスザクにジノが注意する
そんなスザクの隣でマリアンヌはクスクスと笑っていた


「でも今日が学園祭で夜がダンスパーティーでよかったですね」
「部外者のスザクでも堂々と入れますし。今のドレスでも違和感がありませんし」
「・・・良いのか悪いのか・・・」


そこまで言うとスザクは車の外に出た
目の前の高等部ではダンスパーティーが開かれていた


「さ、殿下もどうぞ」
「はい」


スザクが振り返るとジノとマリアンヌも車の外に出ていた


「君たちも行くの?」
「スザク・・・今の君は殿下と瓜二つなんだよ?」
「うん。そうだね」
「その君がうろうろしたら大騒ぎになるだろう」
「ですから、私達が目立つようにダンスしてますから、その隙にクレアさんという方を見つけてください」
「ジノ・・・・マリアンヌ・・・」


僕はなんて良い身内と仲間を持ったんだ・・・と感動しそうになったスザクだが、騙されなかった


「・・・ただ二人でダンスしたいだけだろ?」
「あら?ばれました?」
「・・・・昔は素直な良い子だったのに・・・」


くそーーー!といいながらスザクは学園の中へと駆けて行った








****


「化学部・・・化学部・・・・案内図くらい設置してよね!」


学園は学園祭のメインイベント・ダンスパーティーで賑わっていた
殆んどの学生や人間が校庭に集まっているようだ

わぁあ!という声が聞こえた
きっとジノとマリアンヌが人々の前に姿を現したのだろう


「この隙にクレアを見つけないと」


たたたた と校舎に向かって走るスザク
人気のない夜の学校は少し不気味だ




****


「お母様は大丈夫でしょうか?」
「ええ、心配はいりませんよ」


その頃、ジノとマリアンヌはダンスを踊っていた
いきなり現れた皇女殿下とナイトオブワンに会場の視線は釘付けになっていた


「でも・・・例のクレアさんという方が危険なテロリストだったら・・・」
「それこそスザクなら大丈夫。あいつは元ラウンズですよ?」
「ですが・・・」
「それに、アルトゥールもいます」
「?どなたですか?」


アルトゥール
マリアンヌには聞き覚えの無い名前

首を傾げているとジノがクスリと笑った


「大丈夫です。貴女は私とダンスを楽しめば良いんです」


****


急いでるんだけどなぁ・・・・

スザクは隠すことなくため息をはいた


「あれ?どうしたのかな?」
「ため息なんてはいてないで、早く行こうぜ」
それにしても・・・ホント、極上だな」


どうやらこの学校の生徒ではないようだが、くだらない
スザクはもう一度ため息をはいた

人気の無い校舎を走っている途中、柄の悪い男達に囲まれた
どうやらナンパ目的で学園に入ったものの、誰にも相手にされなかったようだ
そしてここでいじけている最中にスザクがやって来たと・・・・


「ほら、俺達といいことしようぜ」
「見たところお嬢様らしいけど、あんまり遊んだ事ないだろう?」


いいことって何だ?いいことって?
スザクは彼らが何をしようとしているか手に取るように理解が出来た


「・・・ろくでもない・・・」
「ん?何だよ?」
「・・・こんな事は止めて早く家に帰ったほうがいい」
「あ?なぁに言ってんのかな?」
「でないと、痛い目にあうよ?」
「アハハハ!痛い目ってなに?」


馬鹿め!とスザクが拳を出す直前、後ろから声がかけられた


「こういう事だ」


がっ!っと男が一人吹き飛んだ

スザクが驚いて振り返ると学生らしい少年が次々と男達を殴り飛ばした


「あ・・・・の?」
「危ないところだったな」


行こう と少年はスザクの手を引いてダンス会場の方へと走った





「ちょ・・・君!」


手を引かれながらスザクは少年に止まる様に声をかけた
スザクはクレアを探しにやってきた。それであの場にいたというのに、ダンス会場まで戻られては困るのだ


「止まってってば!」


ぐいっと少年の手を引いて強引に止まらせた
すると少年はスザクを振り返り苦笑した


「僕、校舎に用があったんだ。だから、戻らないと」
「でもあいつらがいるぞ?」
「大丈夫。僕、強いから」


ふぅん・・・と言いながら髪をかきあげた少年を見て、スザクは固まった


「・・・・っ///」


黒髪の少年は瞳が黒色であることを除けばアッシュフォードにいた頃のルルーシュにそっくりだった


「でも、君は女の子だろ?力で男に敵うわけが・・・・どうかしたか?」


声までそっくりだ とスザクは顔をポッと赤らめた
少年はクスクスと笑うとスザクの顔を覗き込んだ


「可愛いな、君」
「ふぇ///?」


笑った顔もあの頃のルルーシュと同じ
場所は違うがアッシュフォードにいるのではないかと錯覚してしまう


「俺はアルトゥール」
「僕はスザ・・・・っ」
「すざ?」


アルトゥールは首を傾げた
そしてスザクは汗を流していた

このままスザクと名乗っていいものかどうか悩んでいたのだ


(どどどどどうしよう。枢木って言わなければ大丈夫かな?でもスザクなんて名前も日本ででも珍しいし・・・)


「すざ・・・というのか?」
「ぅにゃ?ええっと・・・ええっと・・・・(もうどうにでもなれ!)僕、スザク」
「スザク?」
「・・・・・うん」


開き直ったスザクは、結局本名を名乗る事にした
アルトゥールは「スザクか・・・」と呟くと微笑んだ


「日本人なんだ?」
「うん」
「俺はブリタニア人だけど・・・仲良くしてくれるか?」
「・・・・うん///勿論」


アルトゥールが差し出した手を、スザクはしっかりと掴み、握手した



「・・・・・・ったく」


しかし、彼はスザクが手を握るといきなり不機嫌な顔に変わる
どうしたのかとスザクが疑問に思っていると、手を引かれ、抱きしめられた


「ぅええええ?」
「お前は・・・どうしてそう無防備なんだ?」
「へ?・・・んんっ?」


アルトゥールはいきなりスザクに口付けた
スザクは大きく目を開いて驚く


「んっ!・・んー!」


逃れなければ
そう思うのに体から力が抜けていく

これは、まるで


(ルルーシュ・・・のキスに・・・似てる?)


とろん となり、身体をアルトゥールに預けた


「・・・・解ったか?」
「・・・・な・・・ぁにがぁ?」
「・・・エロい声を出すな」


スザクを支えながらアルトゥールは呆れる
そして自分の目に手をやると、その後でスザクを改めて覗き込んだ


「っ!・・・君・・・まさか・・・」


アルトゥールの目はスザクが良く知った色になっていた
それはスザクの子供達にも受け継がれている色
美しい紫の瞳


「・・・その・・まさかだ」
「ルルーシュの隠し子!?」
「どうしてそうなる!!」


まだ解らないか!とアルトゥールはもう一度スザクに口付けた


「・・・はぁ・・・どうだ?」
「・・・・ルルーシュ・・・?・・・本物?」
「ああ。やっと解ったか?・・・この馬鹿」


スザクは「キスで解らせないでよ」と笑うとアルトゥールこと、ルルーシュに抱きついた



****


「アルトゥールとはお父様なんですか?」
「ええ。アルトゥールはアーサーという言葉のロシア語版。そしてアーサー王には円卓の騎士がいた」
「つまりナイトオブラウンズ」
「ブリタニアのラウンズは皇帝の騎士。つまりルルーシュ陛下の騎士」
「アーサー王はお父様と言うことに・・・では・・・」


今回のスザクが若返ったのも、女性になったのも


「ええ・・・全て・・・」


****


「クレアは君とロイドさんの事だぁ?」


何処かで見たことのあるようなクラブハウスの、どこかで見た事があるようなテラスに案内されたスザクは、ルルーシュから話を聞いていた
クレアとはルルーシュとロイドが作った研究チームの名前だった


「特に理由は無いが、ラテン語で光という意味らしい。俺達の研究で一つでも誰かの光になれたら・・・と、ロイドがつけた」
「・・・・・どうしてあのキャンディーを・・・?」


ルルーシュも若返っているということは彼もあのキャンディーを食べたのだ
どうしてあんなものを作る必要があったのか、スザクはその理由を訊ねた


「最初はマリアンヌの為だった」
「マリアンヌ?」
「ジノとマリアンヌの歳は離れすぎている。どうあがいてもジノはマリアンヌを残して死ぬ。俺はアイツが泣く所を見たくなかった」


ならどうにかして人の寿命を延ばすことは出来ないか
どうにかして二人がつりあえるような年齢にできないか


「そう思ったらあのクスリが出来ていた」
「思っても出来るものじゃないよ・・・君とロイドさんって・・・変」
「変でもいい・・・娘の為なら・・・」


ルルーシュの目は真剣だった


「・・・ルルーシュ・・・」


スザクはその目を見て微笑む

ああ・・・ルルーシュ、君はジノとマリアンヌの事を反対していたのに
二人の為にこんなクスリを作るなんて・・・・
やっぱり君を信じて良かった!!
流石僕のだんな様!!



「・・・なんて僕が言うとか思ってない?」
「・・・・(汗)」


じりっとルルーシュは後退する
スザクはニコニコと笑いながらルルーシュの手を掴んだ
勿論、逃がさない為だ


「一応二人の為って所は信じてあげよう。だけどさ・・・どうして僕が若返ってるの?」
「・・・それは・・・だな・・・」
「っていうか、君、サミット中じゃないか!?大事な世界会議をサボってなにしてんだーーー!!」


この馬鹿皇帝!!
という雄叫び学園に響き渡った








「サミットはアレクシスに任せてきた。あいつも次期皇帝だ。そろそろ国際社会に顔を出さないとな」


右頬を赤く腫らしたルルーシュが事情を説明する
(スザクに頬を抓られた)

サミットはルルーシュが病欠ということでアレクシスを代役として参加させた
サポートとしてユーフェミアとユージニアを同行させている


「で、何故お前にこんな事をしたかというと・・・」
「いうと?」


ルルーシュは苦笑すると「思い出せ」と言った


「俺とお前が高校生の頃ってどうだった?」


高校生の頃・・・スザクは過去の記憶を思い出す

10歳の時に日本が占領された
一度は枢木本家で暮らしたものの、父を殺めた罪の意識から逃れたくてブリタニア軍に入った。それが14歳
そして17歳でユフィに出会うまで軍人として生きてきた
ユフィの好意でアッシュフォードに通わせて貰ったが、黒の騎士団とゼロのせいであまり充実していたとは言い難い
そしてユフィの死
ゼロの捕獲
ラウンズ昇格
アッシュフォード休学
暫くして、アッシュフォードに復学するも、総督補佐の仕事が忙しく殆んど休学状態
ルルーシュの皇帝即位
皇帝補佐官として勤務
シュナイゼル殿下の叛乱 etc.


「・・・・・」
「俺達、まともに高校生をやらなかったと思わないか?」
「・・・確かに」


だからな、とルルーシュはスザクの手をとった


「お前とやり直したいんだ・・・ここで」
「・・・ルルーシュ」


もう一度、あの頃できなかった事をもう一度・・・


ルルーシュの言葉にスザクはにこりと微笑んだ
その笑顔をみてルルーシュも微笑む

しかし・・・


「・・・・って、騙されると思うの?」


スザクはギロリとルルーシュを睨むと今度は両頬を抓った


「いひゃひゃひゃ・・・ふひゃふ・・・(イタタタ・・・スザク・・・)」
「だったらどうして僕は女の子になってるのかな〜?」
「ひょれは・・・ひょの・・・(それは・・・その・・・)」
「やり直したいなら男のままでも良いじゃない?それをわざわざ女の子にした理由はなんなのかな〜?」
「・・・ひゅみまひぇん・・・(すみません)」




****


「どうして僕が父上の身代わりなんかに!!」
「お兄様、諦めてくださいな」
「仕方ありませんわ。既に若返った後だったのですし」


サミットに無理矢理参加させられたアレクシスは不満をここに居ない父にぶつけていた

昨日の朝、いきなり呼び出されたかと思ったら、自分そっくりな少年が居た
その少年は「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア」と名乗り、ルルーシュと自分しか知らない秘密を話したのだ

そして若返りのクスリの事も話してもらい、今の自分ではサミットに参加できないという事でアレクシスに代理を頼んだのだ


「僕も本物になった母上に会いたかった〜」
「本物って・・・」
「元々お母様はお母様ですよ。・・・男性でしたけど」
「母上〜」
「・・・しかも今ではお兄様よりもお若いですよ」
「ロリコンになってしまいますわ」


嘆くアレクシスの側で双子はため息をはく
長男のマザコンは止まる事を知らない


「早く帰って母上と記念写真を撮ってやるぅぅぅぅ」
「「またそれかい!」」



****


「若返るんだぞ?高校生活を楽しまなくてどうする!?」
「だからって女の子にすることないだろう!?」
「ったく、お前は!だから馬鹿だというんだ!」
「なにぃ!?」
「高校生活の醍醐味といえば『恋愛』だろう!!」
「意味が解らないよ!!」
「彼女のスザクと彼氏のルルーシュで、高校生活を満喫しなくてどうするんだ!その為のブリタニア学園だ!!!」
「誰が彼女だーーーー!!ってか、そんな事で国税使うなーーーー!!!!」
「俺の国だ!!そして!お前以外俺の伴侶はいなーーーーい!!」
「このっ・・・・・馬鹿ーーーー!!」


ぜぇはぁ・・・と荒い呼吸をしながら、スザクとルルーシュの怒鳴り合いは続いた


「それに!」


びしっとルルーシュはスザクを指差した
スザクは一瞬、それに怯む


「な・・・なんだよ?」
「アレクシスが母親がいないと悩んだ時、「女の人だったら良かったのに・・・」といっていただろう」
「へ?・・・言った?っていうか、そんな昔の話を・・・」
「だが言った。UP済の『華麗なる一族・第五話』を読め」
「・・・・(UP済??)それで・・・・?」
「俺は女のお前も良いと思った」


だから実行してやった とルルーシュはゼロ笑いしてふんぞり返った


「実行するなーーー!!それとその笑い方止めろ!(殺したくなるから!)」


笑うルルーシュをがくがくと揺さぶり、なんとか笑うのを止めさせた
はぁ・・・とため息をはきながら、スザクは言いたくない事を、考えたくない事を口にした


「・・・あのクスリが君とロイドさんの共同制作・・・そして君が若返った・・・って事は・・・」
「ああ、ロイドなら・・」
「聞きたくない!と、僕がいっても君は言うんだろうし、あの人は出てくるんだよね!?もう!出てくるならさっさと出てこーーーーい!ロイドさーーーーーーん!セシルさーーーーーん!!


33年間も付き合えばいい加減タイミングも読めてくる
スザクは二人の名を呼んだ


「はいはいvブリタニア学園高等部化学担当兼化学部顧問ロイド・アスプルンドだよぉ」
「同じく中等科化学担当兼科学部副顧問セシル・クルーミーです。スザク君、いえ、スザクちゃんv可愛いわよVv」


呼ばれて出てきた二人はスザクが初めて出会った頃と同じ歳くらいに・・・・・若返っていた




「スザク君、もう一度人生を楽しもうよ」
「・・・貴方は十分楽しんだと思うんですけど・・・」
「この人ったら、ランスロットを改造する新案が出たんだけど、体力がなーーーい!って言い出してね」
「だからって若返らないでください!それとどれだけ改造する気ですか!!?」
「良いじゃないか、スザク。もう俺と敵対することはない。今度こそ俺とラブラブな高校生活を・・・」
「ルルーシュは黙ってて!」
「高校を卒業したらもう一度結婚式だ!」
「黙っててってば!」
「あ。じゃあもう一度スザク君とヴァージンロード歩けるねぇ」
「スザク君。今度こそブーケをちょうだいねv」
「前は行けなかった新婚旅行にも行かないとな」
「世界一周とか良いよぉ」
「皆で行けるといいわね」
「日本には絶対に行くぞ!」
「長い間行ってないけど・・・変わっただろうねぇ」
「今から楽しみだわVv」


「・・・・・・・・・・」


スザクはプチプチと自分の血管が切れた音を聞いた


「・・・もう・・・もう・・・・・こんな状況・・・・」


ふるふると震えるスザク
だが誰一人彼、いや、彼女の状態に気がつかない


「ああああありえないっっっつううううううのぉぉぉぉぉぉ!!」






バカヤローーーーーーーーーー!!!



という絶叫がブリタニア学園に響いた






「って!こんな終わり方したら『望んだのは〜』のラストと辻褄が合わないじゃないか!」
「冷静になれ、スザク。これは二次創作作品だ」
「意味が解らん・・・」
「つまり『何でもあり』だ」
「・・・・」
「高校を卒業したら結婚式をあげて、スザク似の可愛い女の子が二人、俺似の男の子が一人。庭付き一戸建てに住む計画だ!」
「子供は七人もいるだろうがっっ!!」
「何人いても構わん!」
「この馬鹿−−−−!!」