「・・・僕はいつの間にか・・ううん、きっとずっと前から・・・君を愛していたから」
大切な人を奪われた痛みと苦しみを、憎しみを忘れてしまうほど
全てを赦してしまうほど
たった一人の君を
「っ・・・僕は・・・」
「スザクっ」
ルルーシュはスザクを抱きしめた。一瞬驚いたスザクだったが、恐る恐るルルーシュの背に手を回した
「・・・ルル・・・ーシュ」
「スザク、俺は・・・俺も、お前が・・・」
****
スザクのナイトオブワン就任式の後、二人きりになった部屋で彼らが愛を伝え合った、その後
「じゃあ、次はこれだね」
と、ロイドが提案した
叛乱は鎮圧した
スザクはナイトオブワンになり、ルルーシュと和解
しかもお互い好き同士。やっと訪れた安らぎの時・・・・・
「の筈が、どうして結婚式なんですかーーーーー!!??」
ありえないっつーーーーのーーーーーーーーーーーー!!!
雲ひとつない青空の広がる吉日
スザクの叫び声が教会に轟いた
誓いの言葉
「だってさ、ちゃんと入籍しないで同棲なんてお父さんとしては許せないんだよ」
「誰が僕のお父さんなんですか?ロイドさん!」
「お母さんだって認められないわ」
「・・・セシルさんまで・・・」
ガクリと肩を落とし、スザクはこれは悪夢だ と呟いた
そんな彼の肩に手を置いてニコリと笑うのはジノ
「そんな顔してちゃ駄目だろ?折角の結婚式なのに」
「スザク、綺麗だよ」
「ジノ・・・・アーニャ・・・・・慰めになってないんだけど?」
グッと握り拳を見せるとジノもアーニャもスザクからスススッと離れた
「まぁまぁ。折角のドレスなんだし。大人しくしてようよ」
「!それです!どうしてウェディングドレスなんですか!?」
スザクの衣装は純白のウェディングドレス
しかもゆるいウェーブのかつらもつけて、しっかりと化粧まで施されていた
「僕ね、一度でいいからバージンロードを娘と歩きたかったんだ」
「娘って・・・」
そんなのは実の子供を作ってからやってください とスザクは脱力した
『ありえないっつーーーーのーーーーーーーーーーーー!!!』
というスザクの叫び声を新郎控え室でルルーシュは妹のナナリーと共に聞いた
「元気だな、アイツ」
「スザクさんですからwところでお兄様?」
「どうかしたか?ナナリー」
いつの間に昔の様に仲良くなったんですか?と、誰か第三者がいればこの兄妹に突っ込んだだろう。だが生憎この部屋にはこの二人しかいない
「スザクさんになんてプロポーズなさったんですか?」
プロポーズ?
妹の言葉にルルーシュは記憶をたどる
好きだと、愛しているとはあの時に伝えた
だがこの結婚式はロイドの提案
しかも知らされたのは今朝の事だ
(執務室にスザクと入った所を拉致された)
「・・・・・」
「まさか言ってないんですか?」
ナナリーが悲しそうな顔をする。だがそれは上辺だけの仮面
真の表情は想像するだけ恐ろしい・・
ルルーシュはさぁっと顔を青くする
「・・・相変わらずのヘタレですね」
「・・・・ヘタレ・・・」
「昔からです。私がどれだけお二人をくっつけようと動いたと思っているんですか?」
昔からナナリーはルルーシュとスザクを恋人同士にしようと影ながら動いていた
例えば幼少期
偶然を装ってスザクの入浴時にルルーシュを乱入させる
(恋心自覚後のルルーシュは恥ずかしくてスザクとお風呂になど入れなかった)
なんやかんやと理由をつけ、二人を同じ布団に寝かせた
(スザクがすぐに寝てしまい、ルルーシュが悪戯する隙がなかった)
再会後
一服盛ったスザクをルルーシュのベットに放置
(まだ腹黒になりきれていないので襲えないルルーシュ。硬直したまま翌朝を迎える)
自分がスザクに想いを抱いていると見せかけて、ユフィから強引にスザクを奪わせようと演技
(だがスザクに振られる・・・)
「やっとスザクさんと結婚するのかと思いきや、プロポーズ一つしていないとは・・・情けない!」
「・・・申し訳ありません」
ナナリーに頭を下げるルルーシュ
妹は昔から兄より強かった
スザクなどはナナリーの真の姿を知らない
護らなければならないお姫様と思っているかもしれないが、とにかく彼女は強かった
「だがな、俺達はすでに永遠を誓っているんだ」
「?どういう事ですか?」
ナナリーは首を傾げた
ルルーシュは思い出す
あの日の事を
****
「その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「あ?何言ってんの?」
スザクはルルーシュがいきなり言い出した呪文のような言葉に首を傾げた
ルルーシュはムッと頬を膨らませると、スザクの頬を抓った
「いひゃひゃひゃ(イタタタ)」
「こら、教えただろ。『誓います』と言うんだ」
ルルーシュはスザクを夕食後、枢木神社の境内へと誘った
そこでスザクに「僕が誓いますか?と言ったら「誓います」って言うんだぞ」と教え、今のセリフを言ったのだった
「っていうか、今の長い言葉、何?」
「誓いの言葉だ」
「誓いの言葉?」
「そう」
ルルーシュはスザクの手を握るとその目を見つめた
「///な・・なんだよ?」
ルルーシュに見つめられて、スザクの心臓が跳ねた
思わず顔が赤くなる
「誓いの言葉というのは、神の前で永遠の(愛の)絆を誓う時に使う言葉だ」
「永遠の絆?」
「永遠の・・・愛・・」
「ほえ?」
「いいいいいや、永遠の友情だ!ずっと友達だって意味だ」
なるほど、とスザクは納得する
これが皇帝になったルルーシュなら「愛だ!」と言い切るのだろうか、この頃のルルーシュはまだヘタレな子供だった
「俺とルルーシュはずーーーっと友達なんだもんな」
「そうだ。永遠に・・・ずっと一緒だ」
「おうw」
「誓うか?」
「ああ。俺、ルルーシュとずっと一緒だ。誓うよ」
「・・・僕も・・・誓います」
****
「ルルーーーーシュ!!」
「お前、夜中だぞ?」
教会で結婚式の後、披露宴という名のさらし者になったルルーシュとスザク
結局全て終わって部屋に戻ったのは午前二時ごろ
流石に新婚初夜を堪能する気にもなれず、さっさと寝てしまおうとベットに横になった時にスザクが部屋に飛び込んできた
「思い出したんだけど、君、嘘を教えただろう!?」
「嘘?」
今でもスザクはルルーシュの隣の部屋を使っている
最近では殆んどそこでは就寝しないのだが、疲れている今日は自室で休むとスザクの方が言ったのだ
(でないと一緒に寝てルルーシュがその気になったら大変だからだ)
「昔誓わされたやつだよ!」
「・・・ああ」
「ああ、じゃないよ!教会で聞いた時、叫びたいほど驚いたんだよ?」
神父の言った誓いの言葉
それは昔、ルルーシュと共に永遠の友情を誓った時のものと同じ言葉だった
「なにが友情だよ?愛情じゃないか!」
「同じ様なものじゃないか」
「どこが!!」
えいや!とベットにダイブしたスザクをルルーシュは苦笑しながら抱きしめた
「お前・・・今日は別々に寝るんじゃなかったのか?」
「!ちちち違うよ!僕は文句を言いに・・んぅ!」
ルルーシュはスザクの口を塞ぐとニヤリと笑った
その表情を見たスザクは苦笑するとルルーシュの首に腕を回した
「結局はこうして一緒にいるんだ。同じだろ?」
「・・・あのね、そういう問題じゃ・・・・まぁ・・・いいか」
いいのかスザク・・・(汗)
因みにこの結婚式は非公式。全て内密に、親族と親しい友人のみ参加しました