ばたーん!!と執務室のドアがもの凄い轟音と共に開かれた
それをジノたちブリタニア帝国高官は言葉を忘れて見つめていた

開かれたドア。その向こうに見えるのは茶色い髪の青年


「・・・スザク?」


この部屋、そしてこの国の主であるルルーシュは愛しい伴侶の名を呼んだ







華麗なる一族 4







名を呼ばれたその青年は、にーっこりと輝かんばかりの笑顔をルルーシュに向けると、すたすたと執務室へと入ってきた


「陛下にお話があります」
「・・・な・・・何でしょうか?」


にこにこにこにこ
スザクは笑っている
だがルルーシュはその笑顔に恐怖を感じ、思わず敬語を使ってしまう


「ええ、実は・・」


スザクは手に持っているものをルルーシュへ見せようとしたが、もう片方の腕に抱いているアレクシスに気がつき笑いかけた


「ああ。殿下は教育上宜しくないですから、離れていてください、ね!!


ぽいっと実の息子を放り投げるスザク
勿論、その先にはジノの姿があった

ここ最近の国のアイドルでもある第一皇子を慣れた手つきで受け止めると一応彼の状態を確かめる


「きゃはははw」
「・・・ご機嫌ですね、殿下」


流石スザクの血を引いているからか、アレクシスはこの程度の事では涙一つ流さない
むしろルルーシュの方が泣きそうだ


「さて、陛下」
「ははははい!」
「これはどういう事なんでしょうか?」


ばん!と机の上に出されたのはブリタニアの週刊誌
そこには『皇帝陛下、ホテルで密会!』『御相手は御学友のミレイ・アッシュフォード嬢』という文字が大きく書かれている


「はぁ?ミレイと俺が密会?」


なんだそれは?と首を傾げていると次のページが開かれた
そこには腕を組んで高級ホテルに入っていくルルーシュとミレイの写真
それとホテルに入る前に撮られたのであろう、二人とも楽しそうに笑いあっている写真が掲載されていた


「・・・この日は中華連邦の高官の方とお会いしていたのではなかったのですか?」
「会った!それは会った。だがその後にミレイと会ってだな」
「予定ではお帰りの筈だったのに、引き止められたとお戻りになりませんでしたよね?」


にこにこにこ
スザクは笑顔だ

だが、どうやらスザクは本気で怒っているようだ
そしてルルーシュを疑っている






「ヴァインベルグ卿・・・」
「ああ、そうだな」


一人の文官がジノに話しかける
このままこの部屋に居たら巻き添えをくう
スザクも言ったとおり、両親の痴話喧嘩などアレクシスの教育上見せて良いものではない

ジノたちはルルーシュに「ごめんなさい」と謝りながら部屋を出て行った
あいつ等・・・とルルーシュは恨みがましい目を向けた後、スザクに優しく微笑んだ


「俺とミレイがそんな関係になりえないって事はお前も知っていだろう?」


嘗て母の後見人をしていた貴族。日本敗戦後はルルーシュたちを匿ってくれた存在
その家の娘。スザクとは別の幼馴染の女性


「俺たちに恋愛感情なんて」
「リヴァルがミレイさんにこの事を確認したら
『ルルーシュってば絶倫ねw』と言っていたらしいけど?」


さぁ・・・っとルルーシュの顔から血の気が引いた

勿論ルルーシュはミレイとそんな事はしていない
あの日はただミレイに聞かれただけだ
アレクシスの様子やスザクとの関係・・・
つまり夫婦の性生活について
『童貞だったルルーシュも立派になって・・・』と感動されたのは複雑だったが・・・


「誤解だ!今からミレイに連絡をとってもいい!」
「・・・・君の言い分が正しくてももう遅いよ・・・」


ゴゴゴゴ・・・とスザクが黒いオーラを背負って何処からかハリセンを取り出した


「・・・スザクさんっ、ほら、僕、一応皇帝だから、ね?」


この国で一番偉い人なんだよ。そんなもので妻に殴られたと民衆に知れたら威厳が・・・
と何とか止めようとしたが・・・無駄だった


「・・・この怒りは君をぶっ飛ばさないと治まらない!!」


許しは請わないよ とゆっくりと掲げれらたハリセンをルルーシュは涙を流しながら見つめた


スザク〜!!
という悲鳴と
すぱーーーん!!
という気持ちの良さそうな音をジノたちはアレクシスの相手をしながら聞いた
だが誰一人その事に触れる者は存在しなかった



「殿下は誠実な大人になってくださいね」
「あう〜?」




この後、すっきりしたスザクはルルに「なんでもするから赦して」と謝って、美味しくいただかれてしまいました