私の家族
お父様はルルーシュ
この国の皇帝をしています
お母様はスザク
首席補佐官としてお父様を補佐しています
本当はナイトオブラウンズのNO.1だったらしいのですが、今では軍を退役しているらしいです
一番上のお兄様はアレクシス
18歳のお兄様は現在日本に留学中です。勿論、婚約者のロシリエルお姉さまとそのお兄様も御一緒です
その次のお兄様はディミトリアス
その下のお姉さまクリスティアナと一緒にコーネリアおば様の所にムシャシュギョウとやらに出かけられました
『母上や伯母上のように国を護る騎士になりたい』と仰っておられました
次は双子のお姉さま ユーフェミアとユージニア
一卵性双生児のお二人は本当にそっくりで、私達家族は見分けがつくのですが、他の方には難しいようで、よく入れ替わって皆をからかって遊んでいるそうです
今は国立の全寮制の学校に入っていて、滅多に会う事が出来ません
そして私の上のお兄様 フェリックス
去年、10歳になった時、ロイド先生の所に弟子入りしてしまわれました。ナイトメアが大好きらしく、ランスロット以上のナイトメアを先生と開発中なんだそうです
そして私、マリアンヌ
兄妹で一番年下で現在六歳です
華麗なる一族 7
今から六年前
ルルーシュが35歳。スザクが36歳の誕生日のその日
家族が待ち望んだ子供が生まれた
「ロイドv」
「やったね陛下w」
手に手を取り合って喜ぶ二人には目もくれず、スザクは小さな娘を抱いて微笑んでいた
自分と同じ日を誕生日とされた娘は、自分と同じ茶色の髪をしていた
そしてまだ見てはいないが、ロイドらの話では目の色も自分と同じなのだという
「アレク達、喜ぶだろうなぁ」
妹ができる事は伝えてある
今頃宮殿で両親と新しい家族を待っている事だろう
「こ・・・これは・・・」
長男のアレクシスが小さな妹を見た途端固まった
それは他の子供達も同じで、唯一三男のフェリックスだけがスザクと同じ様に首を傾げていた
「父上・・・これは大変な事がおきましたね」
「ああ。嬉しい事だが厄介な事になった」
何が?とスザクは彼らの話が見えない
しかしその二人に賛同するように子供達は口を開いた
「母上に瓜二つの妹なんて、心配で片時も離れられませんよ、兄上」
「え?どういう意味?」
次男がそういえば長女も頷く
「護衛対象が二人ですか・・・護衛シフトを練り直さないと」
「護衛って何?クリス?」
そうそう と双子が頷く
「お母様は『ほえほえ ふにゃーん』ですから、きっとこの子も同じですわ」
「ほえほえ ふにゃーんってなに?ユーフェミア」
「無自覚に老若男女を引き寄せて、みんなをふにゃーんっとさせてしまう方のことですわ、お母様」
「ふ・・ふにゃーん?どういう状況の事なの?ユージニア」
スザクには子供達の言っている意味が解らない
だがルルーシュには解っているようで、うんうんと頷いていた
「きっとモテモテって意味だよ、ははうえ」
「フェリックス・・・僕、モテたことないよ?」
三男のフェリックスがスザクの服を引っ張りながら自分なりの考えを口にした
それを聞き、スザクは脱力する
「モテてたのはルルーシュの方だってば」
そんなこんなで生まれた一番下の子供
四女はマリアンヌと名付けられた
それはルルーシュの母親の名前で大切な名前だった
最愛のスザクに良く似た娘をルルーシュは大切に育てた
これまでの子供には勉強も武道もさせていた彼は、マリアンヌだけには勉強のみを与えた
その事にスザクは差別だと抗議したが彼は聞かなかった
『女の子なんだぞ?顔に怪我でもしたらどうするんだ!?』
『ちょ・・・クリスや双子だって女の子だよ!?』
『あいつらはいい。私似だからなんとでもなる』
『・・・それって自分の方が美人だって遠まわしに言ってる?』
等と言う夫婦の会話は置いといて
とにかく、マリアンヌはルルーシュに溺愛されて育った
これまでの子供達は自由に宮殿のあちこちを出歩き、多くの武官や文官らと交流を深めていたのに対し、マリアンヌは常に宮殿の奥で過ごしていた
だから『彼』に会ったのはその日が初めてだった
「では姫様、おやつを持ってまいりますね」
「はい。飲み物はオレンジジュースでおねがいします」
「はい。かしこまりました」
六歳に成長したマリアンヌは女官と共に中庭で遊んでいた
両親は仕事で側にいない時間で、上の兄弟達はそれぞれの理由で宮殿を出ている
彼女は殆んどの時間を女官と過ごしていた
もちろん寂しいと思うが、両親がしている仕事の事も、兄弟達や自分の立場をちゃんと理解している子供だった為、不満だとは思っても口にはしなかった
「今日のおやつはなんだと思いますか?ぜろ」
ぜろとはルルーシュ作製の黒猫のぬいぐるみ
名前をつけたのは彼女自身。両親も周囲の者も驚いたが「変えるつもりはない」と大泣きしたのでそのままにしている
ぜろはマリアンヌのお気に入りで必ず彼女の側にいる。彼女の友人なのだ
「昨日はドーナツでしたね。お砂糖がたくさんついてて美味しかったです」
頬をぽっと赤く染めてマリアンヌは昨日のドーナツを思い出していた
今日はなんだろうとワクワクしながら待っていると、どこからか聞きなれた声がした
「も〜。どうして重要書類を寝室に忘れちゃうかな、あの馬鹿皇帝は!」
「文句言わない。早く取ってきなよ」
「うん。ごめんね、ちょっと待ってて」
それは優しい母親のものだった
(お母様だ!)
大好きなスザクの声を聞き、マリアンヌは大喜びでそちらの方へ駆けて行った
普段は夕方にならないと帰ってこない母
本当はたくさん遊んでもらいたい。もっとお話していたい
その寂しさからか、マリアンヌはこの後父ルルーシュの言いつけを破ってしまう事となる
『マリアンヌ。家族以外の男性と一人で会ってはいけないよ』
という言いつけを
ぱたぱたと小さな子供がやってきている事は解っていた
そしてそれがこの国の小さな皇女殿下であろうという事も
皇帝が一番に溺愛する皇女
上の子供達と違い、大切に宮殿の奥で育てている娘
ジノでさえ赤ん坊の時に数回会っただけの茶色の髪の姫君
「お母様!・・・・・・・あれ?」
ぎゅっとジノに抱きついた茶色の髪の少女は抱きついた感触が違う事に気がついたようだった
ジノはクスクスと笑いながらゆっくりとマリアンヌから離れた
「・・・・・ぁ・・・・」
マリアンヌは顔を青くした
ルルーシュに一人で男性と会っては駄目だといわれていた事を思い出したのだ
スザクがちゃんとそこにいると確認せずに抱きついてしまった
お父様に怒られるとマリアンヌは徐々に目に涙を溜め始める
「お待たせ、ジノ。・・・・あれ?マリアンヌ?」
「!おかあさまぁぁぁ」
タイミング良くスザクが現れ、マリアンヌは母に抱きついた
娘を抱き上げながらスザクは首を傾げた
どうして娘は泣きそうになっているのか と
その後、女官の用意したお茶を飲みながらスザクはジノから事情を聞いた
「へ?ルルーシュに怒られる?」
「多分ね。皇女殿下はお一人で異性に会ってはならないと言われてるって、スザクが言ってたろ?」
その異性とは男性の全年齢対象だ
ルルーシュは大事な娘に妙な虫がつかないかと心配しての事だったのだが、スザクは『何を馬鹿な事を言ってるんだ』と呆れたものだ。今は子供だし、成長すれば恋愛の一つや二つするだろう。いずれは誰かと結婚することにだってなる。
いつかは手放さなければならない事は寂しいが、だからと言って娘の自由を制限する等許せる事ではなかった
「でもそれは撤回した筈だけど?」
「したフリなんじゃないか?現に、殿下のこの様子は・・・」
「・・・マリアンヌ、そうなの?お父様に言われたの?」
ぎゅっとスザクに抱きついたままのマリアンヌにスザクは問いかけた
するとマリアンヌは小さく頷く
それを見てスザクはため息をはき、ジノは苦笑した
「もう・・・あのクソルルめ!」
「口が悪いぞ〜」
クスクスとジノとスザクが笑いあっているとマリアンヌが恐る恐る顔をジノの方へと向けた
「おや?」
「ん?どうしたの?」
マリアンヌはジノをじっと見つめていた
「・・・・」
スザクは暫く考えた後、マリアンヌを下ろした
ジノは微笑むと彼女の足元に跪く
「・・・あ・・・の・・?」
「初めまして、マリアンヌ殿下。私は皇帝陛下の騎士、ナイトオブラウンズNO.1ジノ・ヴァインベルグと申します」
「・・・じの・・・・様?」
「ジノ で構いませんよ」
ニッコリとジノに微笑まれ、マリアンヌはポッと頬を赤に染めた
スザクが小声で「御挨拶は?」と囁き、マリアンヌは慌てる
「初めまして、ブリタニア帝国第四皇女マリアンヌ・ヴィ・ブリタニアです」
ぺこりとお辞儀をきたマリアンヌは目の前で微笑むジノをもう一度見つめた
(キラキラする金色の髪。空みたいな真っ青の眼。・・・・・綺麗・・・)
「またお会いできますか?ジノ様」
「・・・貴女がお望みならば」
優しい微笑を浮かべるジノにマリアンヌもやっとニッコリと笑ったのだった
「お父様、王子さまを見つけました」
とマリアンヌがルルーシュに衝撃の告白をしたのはその夜の事だった
マリアンヌ、ジノに一目惚れする。この辺がルルーシュの血か・・・?
スザクはラウンズをマリアンヌ誕生前に辞めました。ルルや家族の説得です。代わりにジノがワンに昇格。ジノは独身
「酷い」
「ひどいのは君だよ。あの子はただ憧れただけ」
マリアンヌの発言を聞き、ルルーシュはショックでベットに倒れこんでいた
溺愛する娘から「王子」について聞くとそれは昼間あったジノのことだった
スザクにも問いただすと、昼間三人でお茶をしたのだという
ルルーシュはそれを聞き、ジノを左遷しようとした所をスザクによってぶん殴られた所だった
「ジノの髪や眼の色は家族には無い色だからね。御伽噺の王子様って金髪でしょ」
だからだよ とスザクがフォローするがルルーシュは違うと否定する
「何が違うのさ?」
「お前・・・私がゼロだった頃、ジノに惚れてただろう?」
はぁ?とスザクはルルーシュの頬を引っ張った
「ど・う・し・て・そんな事思うのかな〜??」
「りゃって、おひゃえのひのをみゆへがひぎゃうひゃったひゃら」
(だって、お前のジノを見る眼が違ったから)
「・・・あの頃の僕は誰かさんのせいで人間不信だったんだよね」
「うっ!」
幼馴染で大好きだった友人がゼロだった
誰も信じられない
もう誰も信じない
そう思いながら、ラウンズに入った
そこで出会ったジノとアーニャ
アーニャは積極的に近寄っては来なかったが、ジノは鬱陶しいくらいスザクを構いたおした
後にジノから「笑わないから笑わせたかった」と打ち明けられるのだが、身分関係無く接してくれるジノはスザクにとっていつの間にか大切な友人となっていた
「ジノは僕に人を信じれるともう一度教えてくれた人なんだ。感謝してるし、大好きだよ」
「ほらな」
「でもそれは友人として!誤解しないでよね」
でもそれとマリアンヌと何が関係があるのだろう
スザクがそう問うと、ルルーシュは「私とアレクシスみたいなものだ」と呟いた
「?」
「私とアレクシスは似ている。人の好みまで」
スザクはそんな事ないと否定するが、アレクシスの婚約者ロシリエルはスザクに良く似ている
「だからマリアンヌの好みはお前と同じなんだ」
「僕?」
「初恋のユフィのようなヤツが好みかと思っていたが、次の恋の相手ジノだったとは」
「ちょーーーーっと!だから誰がジノに恋をしてたって「ヤツはまだ独身だ。それにアイツはスザクに不埒な気持ちを抱いていた」・・・聞けよ」
耳を引っ張ってルルーシュの意識を向けようとスザクが頑張るが、どうやら彼はこちらよりもマリアンヌの事が重要らしい
くそぉ・・・と思いつつ、スザクは思う
(ってか、その理論で好み云々言うなら、マリアンヌの好みってルルーシュだと思うんだけどなぁ)
現に自分はルルーシュを選んでいるのだから
「・・・・」
ブツブツと呟きながら考え込むルルーシュの隣に寝転びながら、スザクはクスリと笑った
(・・・言うと調子に乗るから黙ってようっと)
ユフィよりもジノよりも、スザクが愛した人が誰であるのか、ルルーシュが気がつく事が出来たのかどうか、それはルルーシュとスザクだけが知っている
ルルスザ41歳・・・ってことはジノは40・・・マリアンヌとの歳の差34・・・犯罪です