「私を攫ってくださいますか?」
「後悔なさいますよ?」
「しません。絶対に」
「姫・・・」





華麗なる一族 8






「こんな番組観なくていい」


ぶちっとルルーシュはテレビの電源を切る
番組を見ていたスザクとマリアンヌは批難の声をあげた


「何するんだよ!?せっかく良い所だったのに!」
「お父様酷いです!」
「酷くない!」




マリアンヌは十歳になった
それはルルーシュがスザクを伴侶と決めた歳であり、アレクシスがロシリエルに一目惚れした歳でもあった
おまけにマリアンヌは六歳の時にジノに一目惚れしている
最近ではますますスザクに似て可愛らしくなってきた(ルルーシュ+マリアンヌ以外の兄妹談)
このままでは悪い虫がついてしまう

父は心配で心配で仕方がなかった




「お母様、続きが気になります」
「大丈夫だよ。アーニャが録画してる筈だから」
「良かった。お姫様と騎士の恋物語。どうしても観たかったんです」
「愛し合ってるのに意地悪な王様に引き裂かれちゃうなんて可哀想だよねぇ」
「・・・お前らわざとか?」


マリアンヌはともかく、スザクは完全にわざとだ
あれ以来マリアンヌはジノに会ってはいない
会いたいと訴えられた事が何度もあるが、会わせたことはない
スザクはそれを批難しているのだろう


「ルルーシュ、まだいたの?」
「お前な!」











『まぁ、愛娘が恋愛物の番組を見ていれば父親なら気になるものですよ』
「そうですか?」
『特に殿下は末のお子様ですから、他の皆様よりは更に気になるのでしょう』
「む〜・・・なんだか損している気分です」


クスクスと電話の向こうでジノが笑う
マリアンヌも一緒に笑った


「ジノ様、明日の約束を覚えていますか?」
『ええ。動物園ですね』
「はい!」


明日、マリアンヌとジノは動物園でデートの予定だ
だがルルーシュがそれを阻む事が考えられる。だからスザクとアーニャ、ルルーシュの妹ナナリーに協力を頼んだのだ


「明日はナナリー叔母様がお父様のお相手をしてくれる予定です」
『私はアーニャと中華連邦まで行く予定ですよ』
「もしお父様に気がつれてもお母様が『身体を張ってでも止めるからね』と仰っていましたわ」
『・・・・』


電話の向こうでジノは苦笑した
スザクの身体を張ってと言う言葉はそのままだろう
あの皇帝を昼間から寝室にでも引き擦り込んででも娘のデートを成功させようというのだ


「ジノ様?」
『いいえ。スザクにも迷惑をかけたなと思いまして』
「・・・私が・・・我儘を言ったばかりに・・・」
『殿下のせいではありません。そうですね・・・悪いのは陛下ですよ』
「・・・ジノ様」
『ほら、もう寝なさい。明日会えるというのに寝不足な顔で私に会うというのですか?』
「!いいえ!もう寝ます。」
『はい。おやすみなさい』


おやすみなさい とマリアンヌは電話を切った
にこにこしながらベットにジャンプすると部屋の電気を消して眼を閉じた








****


「それで・・・俺を出し抜いたつもりか?」
「っん!・・・・ぁ・・・君っ・・・『俺』に戻って・・・・ふぁ!」


まだまだお若い皇帝陛下は最愛の妻を堪能しながら明日の企み等全て知っていると囁いた


「全く・・・俺だって鬼じゃない。娘の初デート()邪魔しないぞ?」
「ひゃっ!・・・耳っ・・・噛まないでよ!」
「相変わらず弱いな」
「・・・君も相変わらず性欲の権化だね」


僕らもう46歳なんだよ?
そうスザクが言うとルルーシュはニヤリと笑う


「ブリタニア皇家の血だ」
「・・・偉そうに言わないでよ・・・・」








****


翌日、マリアンヌはデートを堪能し
ルルーシュも久しぶりのナナリーとの会話を堪能し
その後妻も堪能したらしい・・・・


ルルーシュはいつまでたってもスザク大好きです
マリアンヌはジノが大好きですが、ジノの本心は・・・・どうなのでしょう?
ルルーシュは30歳になった時に一人称を『私』に変えました。スザクも一緒にそうしようと思ったのですがルルーシュに止められました