「俺とスザクのラブラブ話の筈がいつの間にか前半アレクシス主役・・・こんな事が許されて良いのか!!?(ワナワナ←怒りに震えるルルーシュ)」
「皇帝はまだマシ・・・私はもっと酷い扱い・・・背景状態」
「だなぁ・・・可哀想に・・・アーニャ」
「俺とジノも然程変わらん!アレクが突っ走った後などラストまで出番がない!」
「それでもまだマシじゃないですか。ラストに出たんですから」


「と、言うわけで本編で出番のなかった我々が何をしていたか、それを教えてやろう!」
「管理人は集中力が無いからすぐに本編から脱線してしまうんだ」
「これはその寄せ集め。その記録」







The Knight of Rebellion 裏話






スザクが失踪した
何一つ情報は無く、書置きすらなく、情けない事にルルーシュはぼけっと口を開いて「うちの奥さんが出て行ったんですけど」とジノに告げた


「・・・喧嘩ですか?だったらアーニャの所かアスプルンド邸じゃないですか?」


皇帝夫婦が喧嘩する事には慣れっこのジノは、主君を振り返ることなく仕事を処理していた
しかしルルーシュは「そうじゃないんだ〜」とジノの背中にへばりついた


「わぁ!!何するんですか!サインを失敗したでしょう?邪魔するなら」


出て行ってください!このクソ皇帝!(←酷い・・)と怒鳴りながら振り返るとルルーシュは縋る様な目をしてジノに訴えていた


「本当にウチの奥さんいないんですよぉ」
「・・・え〜っと・・・ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアさん・・・ですよね?」


アンタ誰だ?と聞きたくなるくらい別人になったルルーシュを見て、ジノは深い深いため息をはいた





ジノに呼び出されたロイドは頬を引き攣らせながら皇帝の元へと現れた


「んでぇ、君はウチの子に何をしたのかな?あの子ウチにも来てないし、アニャちゃんとこにも来てないんだよねぇ」
「何を?そんな事は俺が聞きたい!俺の何がいけなかったんだ!」


スザクーーーー!!と窓を開けて叫ぶ皇帝を、アーニャとセシルがピコハンで殴って黙らせる


「全くもぅ!僕は未だに理解できない。どうしてあの子はこの馬鹿皇帝を選んだのかな?」
「愛だ!」
「もー!君は黙ってなよ!」


ロイドは「ぴこぴこっ」とルルーシュをハンマーで数回殴ると、ジノとアーニャへと顔を向ける


「この馬鹿の話によると喧嘩による家出とは考えにくい。かといって、他にいい人が出来て駆け落ち・・・「駆け落ちぃ!!?※ルルーシュ」五月蝿い!『ぴこっ』の可能性は・・・」
「隕石が陛下の頭に落ちるくらいありえない話ですね」
「と、なると・・誘拐?」
「相手はあのスザク君だよ?逆に犯人をフルボッコに決まってるじゃない」
「それに王宮にはカメラと警備担当の巡回が・・・あ」
「「それだ!」」


ジノの言葉にアーニャとロイドが反応した

善は急げとカメラの画像解析を始めたが、今日の話にはならないようで、スザク失踪第一日目は情けないルルーシュの相手だけで終わった




****


翌日、執務室に昨日と同じメンバーが集まった
そしてアーニャの手にはカメラを解析した結果が持たれていた


「合計で三枚」
「ありゃ・・・本当にスザク君だわ。これは本気で駆け落ちかな?」
「陛下、見捨てられましたね」
「お気の毒です」


各人の冷たい言葉にキラリと目を光らせたルルーシュだったが、深呼吸をして怒りを静める


「昨日と今の言葉は皇帝不敬罪が妥当だと思うが・・・・今日だけは見逃してやろう」
「僕らに手を出しだらそれこそスザク君に刺されるよ〜?」
「「「「「・・・・」」」」」

「とにかく、今はスザクの行方だ」


しばしの沈黙の後、気を取り直したルルーシュが話を進める


「君の事だもの、居場所は掴んでるんでしょ?」


スザク馬鹿のルルーシュが、元ゼロのルルーシュが、一晩とはいえ何もしないはずがない
ロイドの言葉にルルーシュはにやりと笑う


「当たり前だ。昨日は混乱していて忘れていたが」
「例のピアスですか」


それはルルーシュとジノだけが知っているスザクのピアス
ルルーシュがスザクとの結婚式の後、彼に贈った物だ
それは一時間に一回だけ居場所を知らせる電波を出す発信機だった

以前あったジノによるスザク拉致
その反省を元に、ルルーシュがスザクの居場所を知る為に作った物だった


「それで何処にいたんです?」
「首都には居ない。それほど遠い場所に居たようではないらしいが・・・今戻ってきている最中だな」
「・・・戻り次第確保しますか?」
「したい所だが、理由があってこんな行動をしている筈だ」
「連れ戻してもまた逃げ出しちゃうだろうねぇ」


そしてその理由を知らなければならない


「そしてそれはこのスザクの手にある書類にある」
「・・・もしかしなくても・・・調べ済み?」


この解析結果は必要なかったんじゃないのか?アーニャがピコハンを構える
ルルーシュはサッとヘルメットを被り、アーニャの攻撃を警戒した


「「・・・・」」


両者の間に緊張した空気が流れる
それでは話が進まないとジノがアーニャの怒りを静めた
ルルーシュはロイドから注意を受ける事となった






「スザクの手にある書類はジノからもらったレジスタンス掃討作戦の計画書の一枚。対象者リストの一部だ」
「ではその中に・・・」
「ああ。そこでお前に聞きたいことがある、ロイド」


ジノと会話していたルルーシュは、ロイドの名を呼び彼へを顔を向けた


「なんだい?」
「お前はスザクをデヴァイサーにする際、アイツの経歴を調べた筈だ」
「うん。調べたよ」
「その経歴を話せ」
「・・・知ってるんじゃないの?」
「一応は。だが俺は裏の話は聞いてない」


裏の話ねぇ・・・とロイドは苦笑した


「彼のどの裏話?」
「デヴァイサーになる前。俺と再会する前の・・・一番最初に配属された小隊での話だ」


ルルーシュの言葉を聞いたロイドは一瞬だけ硬直し、ゆっくりと息を吐いた


「なるほど・・アレが関係してるのかぁ」
「それ以外は考えられなかった」


「そう・・・」とロイドは微笑むと、ルルーシュらに知っている事を話した






****


情報は集まった
スザクももうじき首都に戻ってくる
だが、あのスザクが大人しく王宮に帰ってくるだろうか?いや、帰ってこない
恐らくスザクは目的を果たしていないだろうというのがルルーシュの予想だった


「ですが、このままでは掃討作戦の邪魔、もしくは巻き添えに・・・」
「ああ。だからウチの愚息を使う」
「アレクシス殿下?どうして?」
「スザクがアレを大切にしているからな」


マザコンというのだろうか。アレクシスはスザク大好き人間だった
それこそ生まれた時からだ
機嫌が悪いときなどはスザク以外には絶対に抱っこされない赤ん坊だった
スザクを母親と知ってからは「母上母上」とスザクに纏わりついている
そしてスザクも迷惑がっていない


「息子というだけで無条件にスザクに愛されているんだ、あの愚息は!」
「実の子供ですから・・・」
「毎日だ・・・」
「何が毎日?」
「毎日スザクはアレク達と風呂に入る・・・俺はスザクの気が向いたときしか一緒に入れないのにっ!」
「・・・・」
「俺がスザクの愛情を得るために・・・スザクを手に入れるまでに何年かかったとおもってるんだぁぁ!!」
「つまり」
「羨ましいって事ですか?」
「自分の子供に・・・馬鹿馬鹿しい」


と、ルルーシュの馬鹿馬鹿しい嫉妬話は置いといて
アレクシスの泣き落としならスザクも一時的とはいえ、帰ってくるのではないか というのが一同の予想だった

そしてアレクシスを動かす為に一芝居する事にした





もう既にスザクの居場所は解っているのだが、アレクシスを騙す為にワザとらしくスザクが宮殿を出る時の写真を見て会話する
まだアレクシスが動く気配はないが、恐らくこの時の「スザクが持ち出した書類」について頭に記憶された筈だ


「・・・・」


アレクシスが執務室を出て行った後、ルルーシュはニヤリと笑う
ジノはそんな主君の顔を見て苦笑した


「さて、次は施設の視察をアレにさせるか」
「その事ですが、本当に良いんですか?・・・テロの情報が入ってますよ」


ルルーシュが行く筈の施設視察の公務
それをアレクシスにさせて、レジスタンスに襲わせる作戦だ
勿論アレクが撃たれる可能性があるが、ウィンザー卿を護衛に付かせるし、恐らくスザクも現れる筈だ


「俺のスケジュールはスザクの頭の中に入っている。レジスタンスが首都に集まっているとなると、必ずテロ活動をするとあのスザクでも思いつくだろう」
「一番標的になりそうなのが皇帝とその一族ですからね。・・・しかし、スザクをそこで確保すれば良いのでは?」


レジスタンスの首都集合
それはジノが送り込んでいるスパイの活動によるものだ
巧みな話術を使いレジスタンスを首都に集合させた。流石に首都に大量の武器やKMFを持ち込むことは出来ない。普段より武器の少ない彼らをジノ達ブリタニア軍が叩くのだ
スザクの追っている男も罠とは知らずに首都へとやってきた


「あのスザクだぞ?捕まえられん。それよりも間違いでも良いからスザクが自分を襲ったようにアレクに思わせる事が出来れば、奴は動くだろう」
「暗殺未遂犯としてスザクが捕まる、と思えば・・・動かれるでしょうね」
「思うさ。でなければ俺の息子として失格だ」



そして思惑通りにアレクシスは動く事になるのだが・・・その前に・・・



「は?」
「どういうつもりなのかなぁ?」
「何故、私達?」


ルルーシュはロイド・セシル・アーニャを宮殿に引き止めた
彼らにはどうしてもやってもらわねばならない事があったのだ


「ロイドせんせぇ」
「せんせぇぇ・・ははうえはぁ?」


目に涙をいっぱい溜めたディミトリアスとクリスティアナ


「まーま、いないのぉ」
「なのぉ」


既に泣いている双子のユーフェミアとユージニア
そしてずっと大泣きしているフェリックス


「・・・まさかと思いますが」
「私達に」
「子守をしろってぇ?」


そしてそれは間違いではなく、ルルーシュは「頼んだ」と子供五人をロイドたちに預けた


「「「「せんせぇぇぇ」」」」
「はいはい。悪いお母さんだよねぇ」


赤ん坊のフェリックス以外の子供に抱きつかれたロイドは大きなため息をはいた


「これで怪我して帰ってきたらただじゃおかないからね!スザク君!」





****



「アレクシスはジノのPCから情報を探るつもりらしいな」


プライベートルームでアレクシスの動きを見ていたルルーシュとジノはフッと笑った
彼らのPCにはパスワードと生体認証が必要なのだが、アレクシスはジノのパスワードを手に入れていた


「ですが殿下の知っているパスワードでは、ある一定の情報しか引き出せないようにしています」
「わざと教えたようなものだが、さて、その事に何年経ったら気がつくかな?」


流石に七歳の子供に国の全てを知られるわけにはいかない。アレクシスが自分で手に入れたと思っているジノのパスワードはわざと知れるように作った物で、アレクシスが知っても問題が無い情報だけが検索できるようになっている


「これで殿下はスザクの下へと」
「行くだろうな」


狙い通りだ
ルルーシュはニヤリと笑う


「それはそうと、今度陛下の『スザクコレクション超マル秘』を見せてくださいよ」
「断る!」
「『マル秘』は見せてくれたじゃないですか〜」


それはルルーシュによるルルーシュの為だけの秘蔵ファイルだった


「『超マル秘』には動画も保存されているからな。お前が見たら死ぬ」
「呪いのビデオですか・・・?っていうか、そんなに凄いんですか?」
「ああ。幼少期の道着姿から現在の(ピー)中の姿まで。出血多量で死亡間違いなしだ。耐性のあるこの俺でさえ命が危うい」
「・・・・」
「エロい!スザクは存在自体がエロ過ぎる!よくもあんなエロい人間が俺とやるまで処女でいられたものだ」


力説する皇帝に、ジノは「コイツが皇帝で国は大丈夫だろうか」と今更な心配を始めた


「ブリタニアの大事な騎士ジノ・ヴァインベルグを死なせるわけにはいかない!・・・解ってほしい」
「つまり、見せたくない、見せるつもりもない・・・ですか」
「そんな事は言っていない」
「言ってますよ、十分・・・」


くそ・・・と悔しがりながら、こっそりと自分のスザクフォルダに『マル秘』のデータをコピーするジノだった



****



スザクが撃たれた
その知らせはルルーシュの想定外の出来事だった
万が一の事があってはならないとアレクシスには護衛をつけていた。その護衛からの連絡だった

護衛はどうするのかと指示を求めてきた
このまま監視するだけなのか。アレクシスとスザクを保護するのか

ルルーシュの出した結論は監視
スザクの命の危機となれば必ずアレクシスは自分に連絡をとってくるだろう
それまで待つことにしたのだ
スザクは何かを決意してルルーシュの側を離れた
ここで保護すればそれを中断させてしまう
それは彼を後悔させる事になる
きっと例の件でスザクは苦しんでいたに違いない
今度の事でスザクがその苦しみから逃れられるならと、これまでルルーシュは連れ戻したいのを我慢していたのだ
ここまできたら最後までその意志を貫き通させたかった


「本当に・・・良いんですね?」


最終確認といわんばかりにジノがルルーシュに訊ねる
ルルーシュはしっかりと頷くと、ぐっと拳を握った



****


全てが終わりスザクは手元に戻った
しかしその怪我は思ったよりも悪化していた
シーツを引き裂いて包帯代わりに巻きつけて止血した。スザクの手当てはそれだけ。その為、雑菌が入り込み化膿してしまったようなのだ
それ以外にも出血が多かったこともあり、非常に危険な状態だと軍医に診断された
その身はすぐさま軍病院に送られ、集中治療室に入った

本当なら側についていたかったが立場上出来るはずが無く、同じく作戦の後始末をしている為に動けないジノと共に懸命に働いた




『父上!母上の目が覚めましたよ!先生ももう大丈夫でしょうって!』


電話の向こうのアレクシスは本当に喜んでいるようだった
無理もない
彼は初めて自分の呼び声に答えない、眼を覚まさないスザクを見たのだから
きっと眠れないほど不安だっただろう


『父上!・・・聞いてます?』
「ああ、聞いている。それよりも、目覚めたばかりなんだからあまり無理させるなよ?」
『それはあの二人に言ってください。僕よりもはしゃいで母上のべったりなんですから。もう、羨ましい!』


ルルーシュはその光景が簡単に目に浮かんでしまい、思わず笑い声をあげてしまう
そしてアレクシスに思い切り怒られるのだった




****

ルルーシュがスザクの元へ行けたのは、子供達が帰った後の事だった



「・・・ルルーシュ」
「・・・意外と元気そうじゃないか」


ルルーシュはベット脇の椅子に座ると、スザクの髪を指に絡めて微笑んだ
スザクはルルーシュをジッと見つめて、ごめんね と呟いた


「心配・・・したよね?」
「ああ」
「怒ってる・・・よね?」
「まぁな」
「・・・勝手な事して・・・ごめんなさい」
「・・・」
「・・・ごめん・・・なさい・・」
「・・・泣くくらいなら最初から出て行くな・・・馬鹿」


ルルーシュはスザクの負担にならないように上から圧し掛かるように抱きしめると、「ルルーシュ」と自分の名を呼ぶ唇に自分のそれを重ねた



***

ごめんね、ごめんねとスザクはルルーシュの腕の中で泣きながら何度も謝った
ルルーシュは何度も頬にキスをしながら「もう怒っていない」「でも二度となにも言わずいなくならないでくれ」とスザクに囁いた




「お前は・・・ブリタニアを恨んでいないのか?」
「・・・どうして?」


狭いベットに二人で横になりルルーシュはスザクを腕に抱いていた


「今回のアイツも・・お前も、ブリタニアが起こした悲劇の犠牲者だ」
「・・・恨んでなんかいないよ・・・それよりも今の僕はブリタニアを護りたいから」
「・・・そうか」
「護りたいから、僕は彼を・・・」
「・・・」
「僕は僕の大切なものを傷つけるものを許さない」


それは大切な家族
愛する家族と、愛する人


「護るよ・・ルルーシュも子供達も、ジノやアーニャやロイドさんやセシルさんや・・・君のブリタニアの全てを」


必ず


しっかりと自分を見つめる翡翠色の瞳
強い意志を秘めた瞳を見て、ルルーシュは微笑んだのだった








最後の辺り・・・繋がりがおかしいです・・・
ルルとスザクの病室でのやり取り二種
本編ラストに入れる予定だったものです
締りが悪いので二つともボツになりました。しかしながらイチャイチャさせたかったのでこちらに掲載
けどどのみち締りの悪いラストになってしまいましたが・・・
拍手のピアス設定を本編で出せなかったのが悔しい所・・・