『誓いの言葉』数日後
式は挙げた
(親しい人間だけにだが)スザクは自分の物とアピールも出来た
新婚初夜も済ませた
・・・と、なれば残るは・・・
指輪の必要性
結婚指輪が必要だと思いませんか?
「必要ありません」
ルルーシュの言葉にスザクはあっさりと返事を返した
それどころか彼は、馬鹿な事を言わないで書類に判子ください とクソ真面目な顔をしてルルーシュの机の上の書類を指差した
ルルーシュはヒクリ・・・と頬を引き攣らせながらなるべくスザクを怒らせないようにもう一度聞く
「俺とお前は結婚したよな?」
「・・・したと言えばしたんでしょうが・・・書類上はお互い独身です」
「だが・・・結婚したと認めるんだな?」
「はぁ・・・まぁ・・・」
「なら指輪は必要だとは思わないか?」
ふぅ・・・とスザクはため息をはくと口調を公的なものから私的なものに変える
「ルルーシュ。指輪はいらないよ」
「何故だ?男同士で、と言われるのが嫌なのか?」
「違うよ。嫌なんじゃなくて・・・言いにくいんだけど・・・邪魔なんだよね」
「・・邪魔・・・」
「あのね、僕のお仕事はなんでしょう?」
お仕事・・・といわれてルルーシュは改めて思い浮かべる
「俺の補佐官、俺の妻、俺の夜の相手」
「妻じゃない!夜の相手なんて言うな!」
バン!と机を叩いてスザクは抗議した
そして「一番重要なことを忘れてるじゃないか!」と怒りを露にした
「僕はKMF乗りなんだよ!」
「ああ・・・そういえばそうだったな」
シュナイゼルの叛乱を鎮めた後は小さな戦闘はあちこちであるものの、スザクが出て行くような大規模な戦いは起こっていない
「パイロットの中で既婚者もいるよ。だけど操縦桿を握るのに邪魔だって言ってたんだよ」
もちろんその間だけ外しておけば良いだけなのだが、頻繁に紛失騒ぎも起こっており、スザクは前々から指輪だけはしないでおこうと思っていたのだ
「だから要らない。必要ないの」
「・・・」
「気持ちだけ受け取っておくよ。ありがとう、ルルーシュ」
邪魔だから、無くすのが嫌だからというスザクの言い分はわかった
しかしそんな事で納得するルルーシュではなかった
「馬鹿者!!」
「ひゃああ!!」
がたーん!と椅子を倒して立ち上がったルルーシュは鋭い視線をスザクへと向けた
「結婚指輪は永遠の愛を誓った印だ!お前は俺を愛していないのか!!?」
「ちょ・・・たかが指輪くらいでそこまで・・・」
「たかが!?俺にとっては重要な問題だ!折角お前を手に入れれたのに・・・俺は・・・俺は・・・」
「あのね、ルルーシュ落ち着いて・・・」
「俺はお前を俺のものだと全世界に向かって主張したいんだーー!!」
ルルーシュの力説はジノがやってきて止めるまで続いた
****
「まずはここだ。行って来い」
「ほえ?」
翌日、無理矢理宮殿の外に連れ出されたかと思えば車に押し込まれた
そしてぽーーん と放り込まれたのは病院
そこには医者と看護師がおり、彼らはニコニコしながらスザクの肩を掴んだ
「へ?・・・ぅえ?・・・・・ふにゃああああああああ!」
クククっとルルーシュはスザクの隣で笑っていた
車は別の場所へと向かっているようだが、スザクはそれどころではない
「ううう〜」
「お前っ・・外にまで悲鳴がっ・・聞こえ・・・クククッ」
「誰のせいだと思ってんだよ!」
どれどれ、とルルーシュはスザクの耳に触れる
するとスザクから「ふぎゃあ!」という叫び声があがる
「止めてよ!痛いんだよ!!」
「ピアスつけただけだろ?」
「痛いの!!」
スザクが病院に放り込まれたのはピアスホールを開ける為
なにも聞かされていなかったスザクは、何の心の準備もなくぶすりとやられてしまったのだ
「これから毎日俺が消毒してやるから、怒るな」
「ヤダ!触らないでってば!自分でやるから君は触らないでよ!?」
スザクは両耳を触らないように手で覆い隠した
その姿を見てルルーシュはまた噴出してしまい、更にスザクに怒られる事となった
「今日の目的地は・・・ここだ」
「へ・・?」
車がたどり着いたのは貴金属店だった
ほら、と背中を押されて入ると、従業員が一斉に頭を下げて二人を出迎えた
戸惑うスザクを他所にルルーシュはさっさと中へ入りVIP室へと入っていく
慌ててその後を追ったスザクだが並べられていた宝石らに一瞬目がくらむ
「スザク、こっちへこい」
「ルルーシュ・・・何するの?」
「買うんだよ」
ルルーシュはスザクを隣に座らせると、彼の左手を取った
「何を?」
「指輪に決まってるだろ」
へ?とスザクが硬直している間にサッと店員がスザクの指のサイズを測る
そしてまだスザクが呆然としている間にあーでもないこーでもないと支配人らしき人物と商談を始めた
「スザク、これなんかどうだ?」
「なんで?」
「じゃあこれか?」
「だからなんで?」
「いっその事全部買うか?」
「なんでそうなる!?」
僕が言ってるのは、どうして指輪を買うことになったか聞いてるんだよーー!!
というスザクの意見は見事にスルーされた・・・
****
結局ルルーシュの押しに負けたスザクは指輪を受け取った
しかし断固として指に嵌める事だけは拒否した
ルルーシュは不満そうだったが、無くしたくないんだというスザクの懇願をルルーシュが受け入れない筈が無く、贈られた結婚指輪はネックレスとしてスザクの胸元に毎日身につけられることとなる
ス「指輪はともかくピアスは痛い思いをしてまであける必要があったんだろうか・・・」
ル「ある。俺の反省と対策の結果だ」
ス「反省?対策?」
ル「ククク・・・」