一番欲しいもの
プレゼントの事を考え始めて一番に思い出したのは去年の自分と
自分を捜してくれた一護の事
そして見つけた一護の一番欲しいもの
それは『俺』
俺は『俺』を一護にプレゼントした
「・・・・・一護の誕生日・・・終わっちまったな」
「そうだな」
一護は冬獅郎を抱きしめ眼を閉じていた
冬獅郎はコチコチと時を刻む時計を見ていた
時計の針は0:13を指している
「そうだ。一護にプレゼントあげないと」
冬獅郎は思い出したように声をあげると
少しだけ一護から距離をとった
プレゼント
その言葉で一護はクスリと笑った
確か一年前の誕生日
冬獅郎は一護のプレゼントに何をあげて良いのか解らず
悩みに悩み
結局用意できなくて、織姫の家で開かれたパーティーに来なかったのだ
「・・・何笑ってんだよ?」
「いーや、何でも?」
冬獅郎がむっと起こった顔をしている
きっと同じ事を思い出しているんだろうな
と一護はさらに笑う
そうすると冬獅郎はますます面白くなくて
「笑うな」と怒った
このままではプレゼントがもらえなくなるかもしれない
一護は多少ニヤニヤしながら
冬獅郎に手を差し出した
「今年は俺が何が欲しいのかちゃんと解ったのか?」
「あたりまえだろ」
冬獅郎はその手にそっと自分の手を重ねる
一護と冬獅郎はお互い笑いあう
「一護の一番ほしいもの
それは『日番谷冬獅郎』」
「・・・・そうだよ」
一護はゆっくりと冬獅郎を引き寄せ
再び腕に抱いた
「どうして解った?」
耳元で囁くように問う
「俺だったら・・・欲しいものは『黒崎一護』だから・・・」
俺は『一護』がほしい
毎日一緒に居て
毎日一護の事を想っていたい
一護と一緒に
笑って
怒って
拗ねて
泣いて
ずっと一護と同じ世界で
一護の隣にいたい
「『俺』をあげるから、俺に『一護』を頂戴」
冬獅郎の言葉に一瞬一護は眼を丸くしたものの
クックックと笑い出す
「俺へのプレゼントの話じゃなかったか?」
「ああ。でも誕生日でなくても俺は『俺』を毎日だってあげても良い」
「それは嬉しいな」
一護は冬獅郎の銀色の髪に口付ける
「良いよ・・・・『俺』を冬獅郎にあげる・・・これからずっと」
「ずっと?」
「ああ・・・永遠に・・・」
一番欲しいもの
あなたも俺も
一番ほしいもは『お互い』
永遠に
『俺』はあなたの
『あなた』は俺の
一番ほしいもの