余談ですが・・・









「しかし、浦原はんもええセンスしてはるねぇ」





こんな荒野でお客さんに煎餅を差し入れるやなんて

市丸は煎餅を包んでいる袋を開けながら
苦笑した


一護もそうなんだよなぁ と笑っていた





「冬獅郎の話だと浦原さんの作るケーキは絶品らしいんだけど
・・・食べた事ないんだよなぁ」
「そうなん?・・・ボクも食べたかったなぁ」











「おやおや、お話は終わりましたか?」
「まぁ、一応は」
「すんませんなぁ、長々と」




二人で浦原に礼を言いながら、お茶と煎餅の乗っていたお盆を返す




「あ、浦原さん」
「はい?」
「次は浦原さんの作ったケーキ食べたいっす」
「そうそう、お上手なんやて?
和菓子好きのあの子を惚れさせたケーキ
食べてみたいなぁ」




一護達がにっこりと笑いかけると
浦原はなんともいえない表情をした




「「???」」




何か言ってはいけない事を言っただろうか?
と二人で顔を見合わせていると
浦原ははぁ・・・とため息をはいた




「ど・・・どうしたんですか?」
「食べたいって図々しかったやろか?」
「・・・いえ、そうではありませんよ・・・」
















今日も浦原はおやつにケーキを焼いていました

今日は苺をたっぷり使ったケーキ


(ああ、あんな事もありましたねぇ)


と前回このケーキを作った時に起こった騒動を思い出しながら
浦原は微笑んでいた


そこへ、尸魂界から来ていた砕蜂を伴った夜一が現れる




「喜助」
「夜一さん・・・と砕蜂隊長も
どうしました?」




夜一はすぐに浦原の手元にあるケーキに気がついたようだった

すると ニヤリと笑い
まさに瞬神の名に恥じないような素早さで
ケーキを奪い取った




「!何するんですか!?」
「砕蜂の話では
今日から日番谷が職務に復帰するらしいではないか」
「・・・らしいですねぇ」
「これはアヤツに祝いの品としてワシが持って行く」
「はぁ?」
「ではの、喜助
行くぞ、砕蜂」
「はい夜一様」













「と、言うわけで
今日作ったケーキは夜一さんに強奪されまして」
「・・・まぁ、復帰祝いで持ってったなら」
「あの子もアンタのケーキ気に入ってるんやし」




しかし、話は夜一が去った後に続いた
















「浦原喜助!!」
「砕蜂隊長・・・尸魂界にお帰りになったのでは?」




バン と浦原商店の入り口を思い切り開いたのは
帰ったはずの砕蜂

浦原がぽかん としていると
砕蜂はつかつかと歩み寄ってきた




「貴様・・・よくも夜一様をあんなお姿に!!」
「はい?」




ぷるぷると拳を震わせる砕蜂に
「私が夜一さんに何をしたって?」
と改めて尋ねた

すると・・




「貴様の作る菓子のせいで!
夜一様のすれんだーなぼでぃらいんが!
引き締まった御身体が!!」




どうやら尸魂界で会った浮竹に

「四楓院・・・ちょっと太ったか?」

(↑この後、デリカシーのない男として砕蜂に制裁を与えられました)




と言われたようだった



本人は全く気にしてはいなかったのだが
砕蜂には耐えられなかったのだろう

最近喜助の作る菓子が美味くての

というセリフから、喜助のせいだと思い
乗り込んで来たのである

















「大変でしたよ
謝って謝って三時間土下座ですからねぇ」
「・・はは・・」
「そりゃ、大変やった・・・・」

「「!!」」








(あれ?
そういえば、あの子を抱きあげた時
前よりも重かったような)




(そういえば、熱で痩せちゃったと思ったけど
こっちに任務で来る前に戻っただけのような・・・)






「「・・・・・・」」






一護と市丸はお互い顔を見合わせて
同時に頷いた





「「浦原さん(はん)!!」」
「はははい!?」











それから後
浦原は低カロリーなおやつ開発に力を注ぐ事となりました









浦原:
「え?苺のケーキの思い出?
それは、初めて夜一さんと日番谷隊長が会った時のおやつですよ

あの二人、同じ猫科のどうぶつなんですが(クロ猫と冬のライオン)
初対面の時に喧嘩をしまして・・・

その後、あのケーキで仲直りしたんですよ
今ではお茶飲み友達らしいです」