あなたが大好き
名前を呼んでくれるその声が大好き
抱きしめてくれるその腕が大好き
笑った顔、怒った顔、困ってる顔、ちょっと泣きそうな顔
怖い顔
どんなあなたでも大好き
あなたの全てが大好き
世界で一番 あなたが大好き
「すいません・・・何ですかコレ?」
自分の膝の上で眠る大切な存在を起こさないよう、
一護は小さな声で目の前に立つ人物に問いかけた
『はい、これ』
先程、その人物=乱菊から渡されたメモ紙
それにはこんな恥ずかしい詩のようなものが書かれていた
今日は一護の父、一心主催の花見をしていた黒崎一家
当然一護は冬獅郎を招待
勿論、乱菊がついてこないはずが無く
宴会が始まって一護がちょっと席をはずした隙に
冬獅郎はまんまとお酒を飲まされてしまった
酔っ払った冬獅郎は、戻ってきた一護に
『いちごぉ〜だっこしてぇ』と
絡みまくり、挙句の果てには
『もぅ眠いのね』
と言ってつい先程眠ってしまったのだ
しょうがないなぁ
と、一護は膝枕をしてやったのだ
そんな二人の様子をニヤニヤしながら見ていた乱菊
彼女は冬獅郎が眠ってしまったのを確認し、このメモ紙を渡したのだ
「何って、ラブレターじゃない♪隊長から一護への♪♪」
「えぇ!!?と冬獅郎が書いたんですか!?」
うんうん
と頷く乱菊
最初はからかってやろうと思い聞いてみた
『一護のどんな所が好きなんですか?』
普段の上司ならまず言わないだろう
「馬鹿野郎!!」と怒鳴られて運が悪ければ凍らされるかもしれない
けれど、今の彼は酔っ払い
普段からは考えられない豹変振り
『えへへ、えっとねぇ』
案の定、上司はニコニコしながら語りだした
一護はやさしいの
一護はあったかいの
一護はあんしんするの
一護は一護は・・・
聞くんじゃなかった・・・
乱菊はすぐに後悔した
『も・・もう良いですよ〜』
『えぇ〜もっとあるのにぃ』
もっと言いたいのだと訴える上司に困り果てた乱菊は
一護に「こんなに大好きなんです」
と手紙でも書いてみれば?と勧めてみた
『てがみぃ?いちごよろこぶ?』
『え・ええ。きっと』
『じゃあ・・・書く』
「と、言うわけで出来上がったのがコレ」
「・・・普段の冬獅郎は絶対に言わないだろうから・・・ちょっと嬉しいかも」
「・・・ぅにゃ・・?」
冬獅郎が眼を開けると何か紙をじっと見ている一護の姿
瞬きを何回かしていると、冬獅郎に気がついたのか
「よう」とニッコリと笑った
「・・・また・・・酔っ払ってた?」
「しっかりと」
「・・・・」
冬獅郎に酔っ払っている間の記憶は無い
多少はあるのだが、その間の自分の行動が信じられなくて
覚えてない
と言っているのだ
何となく一護にやたらと纏わりついていた記憶がある
また迷惑をかけてしまった
と落ち込むj
「?どうした冬獅郎?」
しゅんとなってしまった冬獅郎を心配して一護が顔を覗き込んだ
「・・・」
ゆっくりと体を起こし、一護に向かい合う
そして「ごめん」と謝った
「?」
「また・・・迷惑かけた」
何を誤ってるんだ?と疑問に思っていた一護だったが
ああ、と納得した
そして冬獅郎を抱きしめる
「謝る事はないよ」
「でも・・・」
「良いんだって。良いもの貰ったし」
良いもの?
冬獅郎が疑問に思っていると
一護はヒラヒラと先程見ていた紙を冬獅郎の目の前で振る
「?・・・・・あ!!」
「冬獅郎からのラブレター」
おぼろげに覚えている
一護への気持ちを書いた自分
たくさん恥ずかしい事を書いたような気がする
「か・・・返せ!!」
「駄目」
「見るな!」
「もう見た」
「今すぐ捨てろ!!」
「絶対に嫌」
立ち上がって奪おうとする冬獅郎
だが一護も立ち上がり冬獅郎が背伸びしても届かないように手を高くあげる
「一護!!」
「だーめ!!」
あなたが大好き
名前を呼んでくれるその声が大好き
抱きしめてくれるその腕が大好き
笑った顔、怒った顔、困ってる顔、ちょっと泣きそうな顔
怖い顔
どんなあなたでも大好き
あなたの全てが大好き
世界で一番 あなたが大好き
俺があなたに大好き と言うよりも
あなたが俺に大好きって言ってくれた回数の方が多い
だけどあなたはその事に何も言わない
きっと俺があなたの事を大好きだって知っているから
俺がちゃんと心の中で
大好き
って言ってる事を知っているから
言葉の足りない俺を
素直じゃない俺を
大好きでいてくれるあなた
あなたが大好き
世界で一番あなたが大好き