「ピクニック?」
はい!とアレクシス・ディミトリアス・クリスティアナの三人はにこにこ笑ってスザクの元へとやってきた
子供たちはピクニックに行きたいのだという
その言葉を聞いてスザクは「う〜ん・・・」と悩む
ピクニック・・・つまり子供たちは何処かへ出かけたいのだ
しかしながら、この子達は皇族。出かけるには事前の申請が必要で、しかも行ける所は限られている
おまけに行けたとしても最低でも数ヵ月後だ
「母上、父上にお願いしてもらえませんか?」
「・・・・うん・・・言ってみるね」
ワクワクと期待に膨らませている子供達にそんな事が言えるはずも無く、微笑む事が精一杯だった
****
「最近国内が騒がしいな」
「だね。反ブリタニア、反皇帝のレジスタンスの活動が盛んになってる」
「ここは一度大規模な掃討作戦を取ったほうが良いかもしれませんね」
ブリタニア王宮皇帝執務室で三人の人物が顔をそろえていた
一人は黒髪に紫水晶の瞳 皇帝ルルーシュ
もう一人は茶色い髪に翡翠色の瞳 ナイトオブワン枢木スザク
その二人より長身で、金髪碧眼のナイトオブツージノ・ヴァインベルグ
皇帝と軍務のトップの二人の物騒な話は続いた
「・・・」
「反対か?でもなスザク、テロ活動というものは望む望まないに限らず、一般市民が巻き込まれる場合が多い」
「・・・それは・・・そうだけど」
「奴らはそれさえも『ブリタニア解放の尊い犠牲』などと言って活動を自粛したり中止したりなんてしない」
「・・・」
ジノの言葉を聞き、顔を俯き始めるスザク
確かにレジスタンスのテロ活動で被害を受けるのは一般市民だ
最近でも爆破テロの標的となった軍事施設の周辺の住民に死者が出ていた
確かに彼らは犯罪者。しかしブリタニア軍として掃討作戦を行なえば多くの血が流れる
「奴らは市民を悪の皇帝から救うといっているが、結局の所救う筈の市民を傷つけている」
「・・・耳の痛い話だ」
ジノの言葉にルルーシュが苦笑交じりにこぼした
彼は昔「ゼロ」という名の反逆者だった
そのルルーシュの言葉に、ジノはクスリと笑った
「でしょうね。・・・ですが、陛下」
「ああ。このままにしてはおけないな」
「っ・・ルルー・・・陛下!それは」
自分の意見を口にしようとするが、ルルーシュがそれを止めた
「スザク・・・俺は皇帝として、国を護らなければならない」
「・・・・」
「レジスタンスへの対応は・・・ジノ、お前に任せる」
「っ」「Yes, Your Majesty」
スザクでは甘さが出てしまう
ブリタニア市民や軍人に余計な死傷者を出さない為に、指揮官として最適なのはジノの方であった
それはジノもスザクも解っており、ルルーシュの人事は最良だった。しかし、それでもスザクは食い下がる
「陛下!」
「スザク。・・・もう決まった事だ、俺は変えないぞ」
指揮官の人事も、掃討作戦も
ルルーシュは口にはしなかったが、そういう意味だった
The Knight of Rebellion
ナイトオブワンが姿を消した
ブリタニア帝国においてあってはならない事が起こってしまった
「夫婦喧嘩でもしたんですか!!?何が原因なんですか!??」
「・・・俺が聞きたいよ・・・」
スザクが姿を消したのは一昨日の事。その前日の夜までは確かにいた
寝る時まで一緒だったルルーシュと、おやすみの挨拶をしたアレクシスが言うのだから本当だ
「俺とスザクが仲が良かったのは見てただろう?アレクシス」
「・・・」
確かに。アレクシスが最後にスザクを見た時は穏やかに微笑んでいた。どことなく元気が無かったように思えるが、姿を消すほど何か思いつめた様子は無かった
「僕が母上とキスしたのが悔しかったようで、子供の目の前でイチャイチャとキスしてましたものね」
「情操教育だ」
「ムカつくだけです」
「両親が仲良しなのは良い事だろうが」
「・・・父上が粘っこいから逃げ出したんじゃないですか?」
「・・・なんだと・・・?」
「知ってるんですよ。父上は(ピー※放送禁止用語)で母上はいつも気絶寸前。翌朝は必ずと言っていいほどヨロヨロしてますから、僕にだっていつ二人が(ピー)しかたなんて解っちゃうんですよ。これは子供の教育に宜しくないと思いますが?」
「確かに俺は(ピー)だ。だがスザクもそれで散々喜んでるぞ。ぽろぽろと涙を流しながら「るるぅ・・・ぼく・・・ぼく・・・もぅ・・・」って言い出すんだぞ!あんなエロイ顔が見れるなら俺は二十四時間だってスザクと(ピー)していたい!」
「僕、もう無理って言ってんですよ!そういう所が粘っこいと言ってるんです!」
「あの〜・・・そういう夫婦生活の話は執務室では・・・ちょっと」
セシルの声でルルーシュとアレクシスはハッとする
そうだった・・・ここは皇帝の執務室で、現在姿を消したスザクについての情報交換を行なっていた所だった
「・・・すまない」
「申し訳ありません」
「いやぁ、これはこれで面白かったよv皇帝夫婦の性生活の話も聞けたしね」
ロイドさん!とセシルに咎められたが、ロイドは「あははぁ」と笑っていた
「それにしても、殿下。アナタ、七歳じゃなかったでしたっけ?」
「ああ。七歳だ」
「・・・その歳でそういう話を口にしちゃ駄目でしょ」
「いだだだだ!ロイド!やぁめぇてぇぇ」
ぎゅーーっとロイドはアレクシスの耳を引っ張った
ロイドにとってアレクシスは血は繋がってはいないが息子のようなもの。自分がこの世に生み出したのだ
「長男のアナタが言ってる事は下の殿下方も言うようになるんだよ?気をつけなくちゃいけないよ」
「はーい!!だから放せぇ!」
ジタバタと暴れるアレクシスは無視して、ルルーシュはジノらと話しあった
「携帯と銃。そして無線や身分証明書などは全て置いて行ってます」
「現金はいくらかは持っていってる。だがそれほどの大金じゃない」
「クレジットカードは?」
「置いていっている。おそらく使えば居所が知れると解っているんだろう」
ふぅ・・・とジノとルルーシュはため息をはく
誘拐等ではないだろう。あのスザクが誰にも気づかれず何者かに攫われる事などあるはずが無い
やはり自分から出て行ったと考えたほうが自然だ。だが、その理由が思いつかない
悩んでいるとアーニャが執務室へとやってきた
「皇帝、防犯カメラの画像解析、終わった」
「それで?」
アーニャは一枚の写真を出した
「スザク、王宮内のカメラの位置は全部知ってる。だから映らないように動いたみたい」
「・・・だろうな。だが、いくらスザクでもその全てに映らないことは」
「出来ない。だから、これ」
それはとても小さくだが、確かにスザクの姿が映っていた
昔から来ている紺のジャケットをはおり、辺りを窺っている写真だった
「・・・」
「写っているのは一枚だけか?アーニャ」
「そう。カメラの配置、考え直さないと」
いくら頭に配置図が入っているからとはいえ、たった一枚しか写らないのではこれがテロリストであったら大問題だ
ジノとアーニャはすぐさま新たな計画を頭の中で立てる
そんな中、ルルーシュは写真の中のスザクを見て気がつく
「・・・このスザクが持っているものはなんだ?」
「・・・なにが?」
「紙・・・ですね。白い・・・書類です」
ジノが顔を近づけてスザクが持っている紙を見つめた。そして気がつく。これはブリタニアの書類の一枚だと
「どうしてそう言える?」
「ここです。ここにブリタニアのマークが」
ブリタニア国では政治、軍事に関わる書類は全てブリタニア国旗が描かれている。スザクが持っている紙には見えにくいが、確かにその国旗が描かれていた
「何の書類?」
「・・・執務室にあった物じゃない。時間外に執務室に入るにはセキュリティを解除しなくてはならない。記録上解除した履歴はありません」
「と、言う事は・・・」
「陛下とスザクの自室にあったものです」
「・・・・」
ルルーシュはその日の事を思い出した
その日の仕事は順調に終わった。決済しなくてはならない書類は全てやり終えていたし、重要書類も帰る前にちゃんと仕舞った。そして翌日でも何か無くなったとは感じなかった。
「いや・・・待て。俺はあの日何かを持って執務室を出たな」
「なんです?それは?」
それは執務室を出る直前にジノから手渡された物
ジノが行なう作戦とその対象者が書かれた・・・
「掃討作戦の計画書とレジスタンスどもの資料だ」
『・・・ルルーシュ、何を持ってるの?』
『・・・ジノからだ・・・掃討作戦の・・・』
『っ・・・そう・・・』
スザクは優しい。そして甘い
恐らくレジスタンスに降伏を求めるだろう
だがきっと彼らはそれを受け入れない。スザクは深く傷ついて苦しさを自分で抱え込んでしまう
そんな姿を見たくなかった。だから全てをジノに任せた
『スザク』
『うん、解ってる。ルルーシュの気持ちも、自分の甘さも』
やらなければならない事も解っている とスザクは微笑んだ
そして「ありがとう」とも言ったのだ
「やはり・・・」
「何が無くなっていますか?」
「レジスタンスの資料が一枚足りない」
それがスザクが持っていたのもだと判明した
だが、スザクがそれを持っていなくなる理由が解らない
対象者の中に知り合いでもいなければ・・・
「・・・いるとでも言うのか?」
「まさか!対象のレジスタンスが反ブリタニアとはいえ、昔のように日本人が係わっている可能性はとてつもなくゼロに近いですよ?」
「だがそれ以外考えられない。今のスザクが俺から離れる理由など・・・」
「とにかく、その資料に何が、誰の情報が載っていたのか知る事から、でしょ?皇帝」
「ああ。ジノ、用意できるか?」
「はい、すぐに」
****
母上の行方が知れないというのに、どうして自分はここにいるんだ?
アレクシスは苛立っていた。スザクがどこかへと姿をくらましすでに五日経った。防犯カメラからの画像で、あの時持っていた書類が何だったのかまでは判明した。だがその書類をジノが再び用意したのだが、その何がスザクを動かしたのかまでは解らなかった。そしてそれはルルーシュにもジノにも解らないのだという
今スザクは何処にいるのか・・・それを思うとジッとなどしていられない
しかしアレクシスにもやるべき事がある
皇子、しかも第一皇子という立場上七歳といえど国の為に仕事をする事もある
それが今日の公務。障害者訓練施設への視察
先帝の時代には虐げられていた身体障害者。そんな彼らを働けるように指導し、仕事を斡旋する施設だ
そこに務める職員や施設に通っている者、その関係者に迎えられ、アレクシスは笑顔で答えた
(ああ・・・ガッカリしてるな。無理もないか)
直前で連絡が行った筈だが、今回の視察はアレクシスではなくルルーシュの予定だった。しかしスザク捜索を最優先させた為かルルーシュがアレクシスに代行を頼んだのだ
そしてルルーシュではなくアレクシスが視察に訪れた。その事に彼らはガッカリしているようだった。やはり皇子よりも皇帝に来て欲しかったらしい
(すみませんねぇ、父上じゃなくて)
はぁ・・・とため息をはきつつ、視察を開始した
皇子も案内役もガッカリしながらの視察は一時間ほどで終了した
そして帰路に着くために車に乗り込もうとした時、事件は起こった
パン
という音がしたと思った次の瞬間、アレクシスの頬を何かが掠った
「・・・・え?」
ビシッという音が自分の後ろの壁から聞こえた
ゆっくりとそちらへ顔を向けると小さな穴が開いていた
「殿下!」
護衛のラウンズナイン ウィンザー卿に庇われ、やっと自分が狙撃されたのだと気がついた
途端に慌しくなる周囲
ナインに庇われつつ、アレクシスは襲撃者を探した
「っ・・・」
そしてそれは簡単に見つかる
「なっ・・・貴方は・・・」
ウィンザー卿も気がついたらしく、二人は目を限界まで開いて驚いていた
二人が見た、その襲撃者は・・・
「・・・母上・・・」「・・・枢木卿・・・」
銃をアレクシスに向けたまま、スザクは感情の篭っていない目で二人を見つめていた
****
スザクがアレクシスを狙撃したという情報はすぐにルルーシュへと伝えられた
幸いな事にスザクの姿は僅かな人数にしか見られておらず、その全てが軍関係者であったことから、今回の件について口止めすることが出来た
「・・・本当に見たのか?」
「はい・・・母上でした。見間違うわけがありません」
「私も見ました。枢木卿・・・でした」
アレクシスとナインはルルーシュへと事情を説明した
あの後スザクはあっという間に姿を消した。追いかけようとアレクシスは動いたが、ウィンザー卿に止められ、強引に車に押し込められてしまったのだ
「付近への聞き込みを行ないました。・・・枢木卿らしき人物が何人かに目撃されています」
「・・・」
「マスコミには捜査中という事にしていますが・・・いずれは」
「民衆にバレるか・・・厄介だな」
それでなくとも内密にしていたスザク失踪が宮廷内で囁かれ始めたのだ
これでスザクが第一皇子襲撃犯などと言われてしまったら、いくら皇帝のルルーシュでもスザクを庇う事は出来ない
スザクはあくまでナイトオブワン。臣下なのだ
そしてアレクシスは皇子
たとえ血が繋がっていようがスザクが皇子の命を狙った事には変わりない
「・・・何を考えている・・・スザク・・・」
ルルーシュは誰もいないスザクの席を見つめた
「ジノ!」
「アレクシス殿下・・・今日は大変でしたね」
アレクシスはジノの元へと向かった。すると彼はアーニャとなにやら廊下で話しながらルルーシュの執務室へと向かっていた
「ジノ、母上がいなくなった理由は解ったのか?」
「・・・」
「解らないのか?」
ジノは眉を下げて済まなそうな表情をとった。アレクシスはキュッと唇をかんで悔しがる
このままではスザクは自分を狙ったテロリストとして追われる事となってしまう
それは絶対に避けたかった
きっと彼には自分を狙わねばならない理由があった筈
「いなくなった理由と僕を狙撃した理由は何か・・・どこかで繋がっている筈なんだ」
「・・・」
「でなければあの母上が僕を殺そうとする筈が無い」
そう口にして気がついた
軍人であるスザクならばたとえアレクシスが動いていたのだとしても、簡単に撃ち殺せた筈だ
だがスザクはそうしなかった。銃弾が頬を掠めただけだった
つまり、彼にはアレクシスを殺すつもりは無かった
(ならどうして僕を撃った?・・・僕を殺す以外で母上が銃を撃つ理由・・・僕の・・・足を止めたかった!?)
母を護りたいから、無実だと信じているからこんな事を考え付くのかもしれない。スザクが自分を守る為に狙撃したのだと・・・
「ジノ!母上が持ち出したレジスタンスの資料を僕にも見せてくれ」
「しかし・・・殿下は・・・」
「僕は子供だ。だが僕は枢木スザクの子供だ」
「・・・」
「このままでは母上は罪に問われてしまう・・・最悪処刑だ。だが、そんな事はさせない。僕は母上の無実を証明する!」
それには情報が必要だ
そしてそれはスザクが持ち出したレジスタンスの資料にある
「・・・・優しいのはスザクからの遺伝でしょうね」
ジノは微笑むと手元のファイルから一枚の書類を手渡してくれた
****
ジノからもらった資料にはあるレジスタンスのメンバーの名前と写真が掲載されていた
そこに載っているものの人種は様々だった。主にブリタニア人なのだが、雇われだろうか、EUや中華連邦の人種まで存在した
その中でスザクが知っていそうな人間は存在しない
「・・・・」
何かあると思ったのは間違いだったのか?アレクシスはため息をはいた
しかしこれ以外情報は無い。あるとすればスザクが狙撃に使った銃だが、その入手先を知る為には銃弾を調べなければならない。きっとそれはジノ辺りがやっているだろう。どのみち王宮から出られないアレクシスには無理な事なのだ
そう思ってこの資料を洗おうと思ったのだが・・・・
「・・・・」
アレクシスはもう一度レジスタンスの名前に目を通す
何度も何度も上から順に見ていった
「・・あれ?」
何度目だろうか?アレクシスは何かに気がついた
それがなんなのか、はっきりと解らないがとにかく何かに気がついた
「う〜ん・・・何かに気がついたんだけどな・・・・」
首を傾げながらもう一度上から順に名前と写真を追っていった
「あっ!」
そしてやっと気がついたのだ
「・・・日本人?」
レジスタンスの写真は記念写真や証明写真のように一人で写っている物は少ない
遠くから撮られた物や隠し撮りされたものなどが殆んどだ。その中の一つ。この組織の幹部だと思われる男の後ろに黒髪の男性が写っていた
同じアジア人でもやはり中華連邦と日本人とでは顔立ちが違う
この写真の人物は明らかに日本人の顔立ちをしていた
年のころは両親よりも年上に見える
前髪で顔の左半分を隠し、冷たい目でこちらを睨んでいる
これはこの写真が撮られた時に彼がこちらに気がついている事を指していた
そして、写真の下に書かれている注意書きには、ここに写っている者の殆んどが幹部だろうという事だった
「これだ・・・」
間違いない
この人物がスザク失踪の原因に違いない
アレクシスは確信するとジノの元へと向かった
****
「・・・ジノ?・・・いないのか?」
皇帝の執務室は鍵がかかっていた。ルルーシュは何処かに出かけたらしい
その為ラウンズの執務室に来たのだが、誰もいなかった
「・・・・ごめん、ジノ」
悪いと思ったが、ジノのPCの電源を入れた
ルルーシュ、ジノ、スザクの使うPCはブリタニアの全ての施設にアクセスする事ができる。つまり電子化さえされていれば何でも知る事ができるのだ
勿論起動する為にはパスワードや生体認証が必要だが、パスワードは入手済みだし、認証用のダミーも用意してある
「・・・母上の情報は父上の趣味で一まとめにされてるんだよね」
枢木スザクのこれまでの経歴は簡単に検索できるようになっている
それは現在のラウンズ時から軍に入ったばかりの頃。後はアッシュフォードの試験で何点取っただとか、子供の頃にどれだけ馬鹿な事をやったかなどだ
後半の情報に至っては殆んどがルルーシュの趣味以外のなにものでもない。スザクはこれに関して何度もルルーシュに破棄しろと訴えていたが、アレクシスは父に感謝した
でなければアレクシスにこの男の事を調べる事など出来ないのだから
「・・・日本人ということは・・・日本占領前の知り合いだろうか・・・?」
だとしたら探すのは困難だ
父も母の全てを知っているわけではない。出会うまでの数年と、再開するまでの数年間は完全に二人のつながりが無かったのだから
「・・・探しやすそうな軍時代からにしようかな・・・」
早くも挫折しそうだ・・・とアレクシスはため息をはいた
こんな時に協力者がいてくれたらなぁ・・・と思うのだった
数年後、12歳離れた妹が生まれ、彼女が初恋を経験する頃には下の弟妹が心強い協力者になるのだが、それは遠い未来の話
「・・・・何だこれは・・・?」
もし軍時代の知り合いなのだとしたら、とアレクシスが出した結論は一等兵時代だ
日本人がブリタニア軍で歩兵以上になることは難しい
スザクはランスロットのデヴァイサーに選ばれた事や、騎士になった事などが幸いして異常ともいえる出世を果たしているが、普通は出世など出来るものではない
(だが、それもこれもこの男が軍人であったというのが前提だが・・・)
そんな中で調べ始めた情報。その中で出てきたあるもの
それにアレクシスは言葉を失った
「・・・・」
グッと拳を握るとそれをプリントアウトして自室へと走ったのだった
****
第2037小隊
スザクが初めて配属された隊で、そのメンバー全てが名誉ブリタニア人
勿論スザクが一番年下だった
その小隊は結成されて半年で解体される
理由は戦闘により兵が二人しか生き残らなかった事
ほかは全員死亡ということだった
あのレジスタンスと一緒に写っている男はこの時スザクと一緒にこの隊に所属していた人物
名を藤崎カツミというスザクより五歳年上の名誉ブリタニア人
小隊が解体される原因となった戦闘で死んだとされる兵の一人だった
****
(どういうことだ?死んだ人間が生きている?そんな馬鹿な!)
アレクシスは自室でジノにもらった資料と自分が見つけた資料とを比べた
時が経っているから多少の違いはある。だが面影があるのだ
そしてアレクシスの直感が同一人物だと告げている
「・・・・・良し!」
悩んでいても仕方が無い。アレクシスは立ち上がると身支度を整え深夜の外へと飛び出した
この男の事も気になるが、一番気になるのはスザクのことだ
一刻も早く見つけて連れ戻さなければ大変な事になってしまうかもしれない
ここで問題なのは彼が今何処にいるかなのだが、アレクシス狙撃事件の事を考えるとスザクがこの首都の何処かに潜伏しているであろう事は予測できた
何故なら、ウィンザー卿は大変優秀で、アレクシスの身の安全を確保すると同時に辺り一帯への聞き込みの指示、そして首都と地方を繋ぐ道路全てに検問の指示を出したのだ
検問では身分証明書の提示が必要で、スザクはそれを置いて出て行っている
つまり、彼はこの首都から出る事ができない筈なのだ
勿論裏ルートなどいくらでもあるのだが、そんなものを知り尽くしているルルーシュと違ってスザクはそれ程詳しくない
スザクは首都を出ていない
アレクシスは自分の予想は間違っていないと信じていた
「しかし・・・目立っている・・・」
アレクシスは周囲の視線から逃れようと早足で歩いた
向かったのは首都の中で一番治安が悪いと言われる地区
アレクシスやルルーシュの暮らす王宮のある地域ではなく、ここは貧民街と呼ばれる場所だった
それほど広くないこの場所にスザクがいるだろうと予想したのだ
理由は二つ
一つは首都を出ていないと予想したのと同じ。身分証明書を持っていないこと。どこかのホテルや部屋を借りているのだとすれば、必ずそれが必要になる
そしてあまり現金を持って出ていない事からお金のかかるホテルにはいない
もし何処かで野宿していたとしても、景観を損なうと警察に補導、もしくは逮捕されてしまう
だから身分証明書が必要ないここのどこかの宿に泊まっているのではないかと思った
もう一つはスザクの使っていた銃
いくらブリタニアといえど堂々と銃器の類を店で売っているわけではない
銃を持つには届出が必要で、買えば個人情報が警察や軍に登録されてしまう
そしてスザクらしき人物は登録されていない
ならば何処で手に入れたか
簡単に購入できる場所で手に入れた筈だ
つまり、全ての条件はここを指していた
しかしながら王宮で皇子として育ったアレクシスにこの場所は不釣合いであった
自分が向かう場所が貧困層の住む地域だということは解っていた。その為、着ている物を自分の持ち物の中で一番それらしく見える物を選んで着てきたつもりだったのだが・・・どうやら基準が全く違ったらしい。先程からジロジロと見られていた。その中には敵意もあり、このままでは危険だと本能が告げている。王宮からここへ移動している間に夜は明けた。人通りは少なかったが、その事が災いしたのだろう
だが、ここで逃げ出してしまってはスザクは見つけられないし、今頃アレクシスの不在が王宮中に知れているだろう、このまま逃げ帰ってしまえば二度とここに来る事が出来なくなってしまう。逃げるわけにいかない
「・・・ボク・・・迷子?」
「っ」
突然前方の男に話しかけられた。にこにこと笑いながら話しかけているが不自然に右手を隠している
身なりから良い所のお坊ちゃんと思ったのか、ルルーシュに良く似た顔から第一皇子とバレたのか。それは解らない。だが、間違いなくこの男は自分に危害を加えようとしている事だけは解った
「・・・・くっ」
アレクシスはその男から逃れようと来た道を走って戻る。だがその行く手を遮るように何人もの男が目の前に現れた
「嘘っ・・・だろ!」
七歳の子供一人に大の大人が六人
アレクシスはパニックになりつつも男のいない小さな路地へと入った
「僕は・・・父上と同じで体力よりっ・・・頭脳派なんだよぉぉぉ」
誰に文句を言っているのか、アレクシスはそんな事を口にしながらひたすら追いかけてくる男達から逃げた
しかし .
ドン!
「・・・・」
威嚇か、警告か、空に向かって撃たれた一発の銃声でアレクシスの足は簡単に止まった
「手間取らせやがって」
背後に何人もの人の気配を感じた。だがアレクシスは顔を俯けたままピクリとも動く事ができない
まだ七歳という年齢と、こういった銃を使った犯罪や戦争の場を一度も体験した事がないからか、恐怖で動く事ができないのだ
「・・おい・・・こっちを」
向け、と言いたかったのだろうか、男の一人がアレクシスの肩に手を置いた瞬間、新たな銃声が耳に届いた
「・・・・ぇ?・・・」
それはアレクシスの前方からだった。驚いて顔を上げると、そこには銃を構えた見慣れた人の姿
「・・・母上・・・」
「伏せろ!」
「っ!」
それまで全く動けなかった身体が一瞬で反応した。勢い良く屈むと耳を押さえた。それと同時に聞こえた何発もの銃声と人のうめき声
ぎゅっと硬く目を閉じ恐怖に耐えた
それはどのくらいだっただろうか、数分だったような気もするし、もっと長かったようにも感じられた
銃声もうめき声も聞こえなくなった頃、ふわりと背中から抱きしめられた
「・・・もう・・大丈夫だ」
「・・・はは・・・うえ・・・」
振り返りギュッとスザクの身体を抱きしめた
スザクもアレクシスを抱きしめかえすとホッと息をはいた
「お前・・どうして此処に?」
「母上を探しに来たに決まっているでしょう!」
キッと顔を上げて睨むと、スザクは「はぁ・・・」と気の抜けたような返事をした
「・・・あのね・・・状況解ってます?」
「ルルーシュが怒ってる・・・よね?ジノやアーニャも・・・かな?」
「・・・駄目だ、この人・・・」
全くと言っていいほど状況を把握していない。今のスザクは公にはなってはいないとは言え、第一皇子暗殺未遂の容疑者なのだ
それを告げるとスザクは「そうなんだ」と他人事のように感想をもらした
スザクの応えにアレクシスはヒクリと頬を引き攣らせた
(何を暢気な・・・僕がこんなに苦労したのに・・・怖い思いもしたのに!!)
ここは一言言ってやらねばならない!と口を開いた瞬間
パン という銃声が響いた
「っ!!」
スザクの表情が痛みを堪えるように歪む
アレクシスにはその表情がどういう事なのか一瞬で理解できた。しかし心がついていかない
「は・・・・はは・・う「っ・・しっかり・・つかまってて」」
スザクは表情を歪ませながらアレクシスを抱え、走り出した
アレクシスがスザクの肩越しに後ろを確認すると、先程の男達の仲間らしき人物が数人追いかけてきていた
****
「はぁ・・・はぁ・・・・・」
「母上・・・」
スザクは男達から逃れると、一軒の宿屋らしき建物へ裏口から入った
ぱたん とドアを閉め、すぐさまその場に座り込む
アレクシスは慌ててスザクの名を呼んだ
「母上・・・母上!」
そのアレクシスの呼びかけにスザクの肩がピクリと反応した
「・・・アレク・・・」
「・・何処を・・怪我されたのですか?」
「僕よりも・・・お前は?」
「僕は何処も・・母上が護ってくれたから」
アレクシスの答えにスザクは良かった・・・と微笑んだ
そしてよろめきながら立ち上がる。それを支えたアレクシスはスザクの怪我した場所に気がついた
その場所は左わき腹
スザクは手で押さえているが、血は止まることなく流れ出ていた
「っ」
「二階へ・・・部屋を借りてるから」
二階の借りているという部屋に着くと、スザクはベットのシーツを引き裂いた
何をしようとしているのかアレクシスにも理解でき、それを手伝った
「母上・・・帰りましょう。でないと・・・」
「弾は貫通してる。大丈夫だ」
どこが!とアレクシスは怒鳴りたかったが、呼吸も荒く、貧血で顔が真っ青なスザクに怒鳴る事が出来なくなっていた
「なら・・父上に連絡を。探しています。心配しています」
「駄目だ」
「どうして?・・・そもそも・・何故いなくなってしまわれたんです?それに・・何故あの時、僕を撃ったんですか?」
スザクはなにも答えなかった。そのかわりに「少し休みたい」とだけ言い、ベットに横たわった
それを悲しげに見つめるアレクシスに気がついたのか、スザクは微笑むと長男を抱き寄せて自分の隣に寝かせた
「寝ていないんだろう?」
「・・・どうして解るんですか?」
「解るよ・・・」
親だもの・・・とスザクは小さく呟いた
ニッコリと微笑んで目を閉じたスザクの顔を確認して、アレクシスも目を閉じた
とくん とくん とスザクの心臓の音が聞こえてくる
この人を親だと知ったのは六歳の時だった
驚いた
けど何処かで納得した
男同士の間に生まれたという異常な状態があっさりと受け入れられるほど、自分はこの人に愛されていたのだから
もっと小さい頃はこうしてこの人の腕の中で眠っていた
温かくて落ち着いた
下の弟や妹が生まれると、兄という立場上、下の弟妹にこの場所を譲り、こうして一緒に眠ることはなくなってしまった
それが悲しくこの場所が恋しかった
こんなふうに弟や妹がいない時だけしかこの場所に帰って来れない・・・それが・・・・寂しい
「アレク」
「・・・ふぇ?」
起きなさい とスザクに声をかけられた
アレクシスがぼぅっとしながら身体を起こすと、スザクがトレイに食べ物を乗せて部屋に戻ってきた所だった
「・・母上!動いては!」
「大丈夫。寝たら治った」
「治るわけないでしょう」
どこの元海賊狩りだ!とアレクシスはスザクに注意する。しかしスザクはクスクスと笑うだけでアレクシスが怒っている事など気にしていないようだった
「まぁ良いじゃないか。それよりもお腹空いただろう?」
「良くないですよ・・・確かに、空いてます」
「もうお昼だからね」
食べよう とスザクはテーブルに二人分の食事を置いた
それは普段食べている物に比べたら味付けも不味くてパンも固くて、本当に美味しくなかった
でも初めての二人だけの食事の時間に、アレクシスの頬は自然と緩んだ
「すっごい不味い」
「だね。でも軍の名誉用の携帯食に比べたらマシだよ。ジャングルで現地調達した方が美味しいんだから」
「・・・何を食べてたんですか・・・?」
ジャングルで現地調達・・・考えたくもない
いつか食べさせてあげるよ〜vと笑うスザクに、此処で「はい」などと返事をしてはいけない事をアレクシスは知っている
迂闊に食べたい等と言えば間違いなく本当に調理する
アヴァロンを飛ばしてジャングルに赴いて、本気で獲物を捉まえてくるだろう
そうなれば父や兄弟や父の側近達に恨まれるのは自分だ
御遠慮いたします
この場合それが正しい返事なのだ
「それで・・・・話していただけますよね?」
いなくなった理由とアレクシスを狙撃した理由
「・・・・」
スザクはアレクシスから目を逸らした後、深いため息をはいた
****
何気なく見た資料だった
レジスタンスの掃討作戦
その計画書とレジスタンスの資料に目を通してしまった
国と民を守る為には危険分子には早く対処したほうが良い。それは解っている
何故ルルーシュが自分を指揮官に選ばなかったのかも
駄目だなぁ・・・僕は・・・
隣で眠るルルーシュに感づかれないようにため息をはくと、上から順にレジスタンスの名前に目を通した
以前と違い、全ての植民地が解放され、ナンバーズ・名誉ブリタニア人制度が消えたお陰か、現在のレジスタンスといえば現体制に反対するブリタニア人が殆んどだ。傭兵の中に何人か外国人がいるが、日本人はいない。そう思いながら見ていると・・・気がついてしまった
「・・・ま・・・まさか・・・」
それは多少やつれた印象があるのものの、嘗ての戦友の姿
死んだ筈の・・・死なせてしまった彼の姿
確かめたい
確かめずにはいられない
「・・・ごめんね・・・ルルーシュ」
そうして僕は家族の側から離れた
スザクがまず向かったのは彼が所属しているだろうと思われるグループが潜伏しているといわれる地域
整備された首都から車で半日走ったところにある小さな都市。そこに彼らは身を隠しているという
この街のメインストリートとでもいうのだろうか、一番大きな通りを歩きながらスザクは辺りを探った
(・・・つけられている・・・)
下手に変装すればかえって警戒されると思いなにもせずにやって来たが、やはり『枢木スザク』の顔くらいは知られていたようだ
最初は一人だった尾行者が今では数十人になっている
しかもスザクが気がついている事を向こうも知っているようで、少しずつ誘導されるように裏通りへと向かわされている
(・・・銃くらいは持ってくるべきだったか)
ブリタニア軍、ナイトオブワンという自分ではなく、ただの枢木スザクとして彼に会いたかった
だからその全てを置いてきてしまった
「・・今更・・か」
死ぬわけには行かない。待っていてくれるだろう家族がいるのだから
たどり着いた場所は棄てられたのであろう工場
外壁も何もかも錆びてボロボロになりたくさん穴が開いていた
その廃工場の一番奥に数人の人の気配を感じた
どうやらここに来させたかったらしい
スザクは警戒しつつゆっくりと進む
「ナイトオブワン、皇帝の狗がなんの用だ?」
歩みを進めていくと前方から声がかかる
知らない声だ
「人を探している。君達に何かするつもりはない」
両手を挙げて敵意がない事をアピールする
だが彼らはそう簡単に信じてはくれないようだった
「ハッ、そんな事を言って仲間がいるんだろう?俺達を捕まえに来たのか?」
「違う。独りだ」
「信じられないねぇ」
ごりっと頭に銃を突きつけられた
それでもスザクは慌てる事もなく、本当だ と正面を見つめたまま告げた
「知らないか?藤崎カツミという日本人なんだ」
「・・・・」
「知り合いなんだ。どうしても話がしたくて」
だから居場所を教えて欲しい
そう言おうとした時、近づいてくる足音が聞こえた
スザクがそちらの方へ視線を向けると、そこにはあの写真のとおりの彼がいた
「・・・久しぶりだな、枢木」
「・・・・藤崎さん」
藤崎カツミと枢木スザクが共にいたのは僅か半年
彼は死に、スザクは生き残った・・・筈だった
「何故生きているか不思議だって顔してるな」
「・・・それはそうでしょう・・僕は貴方が死んだ所を見たんですよ」
死んだのは全て名誉ブリタニア人だった
その為墓なども作られる事などなく、その遺体はまるでゴミのように一箇所に集められ、燃やされた
「死んでなかったんだよ。お前達がいなくなった後に息を吹き返した。そして死体の山から這い出てきたのさ」
ほら、とかき上げた前髪の下、彼の顔半分はやけどで酷く爛れていた
「っ」
「お前の事は知っていた。というより知らないほうがおかしいか・・・皇帝直属騎士ナイトオブラウンズ、その最強騎士ナイトオブワン枢木スザク」
世界中で有名だ とカツミは笑った
スザクは厳しい表情でカツミを見つめていた。どうしても聞きたいことがあったのだ
いや、聞かねばならないことが
「・・・貴方は・・」
「嘗て俺達は裏切り者と呼ばれたな」
「・・・」
「日本人からは批難され、ブリタニア人からは侮蔑された」
それは過去の話
今ではエリアは解放され、ナンバーズも名誉も存在しない
「世間ではお前が皇帝の騎士だから、お前のお陰で日本は独立出来たと皆お前を英雄視している」
「・・・僕は・・・英雄なんかじゃ・・・」
「お前はナイトオブワン・・・俺はテロリスト・・・対照的だな」
クククっとカツミは笑う
だが、スザクはぶるりと身体を震わせた
彼から感じる空気が狂気を帯びていたからだ
「・・・貴方は・・・どうしてテロリストに?」
それが聞きたかった
彼がブリタニア軍に入った理由は日本人を護りたいから、だった
日本を返せと戦うのも良い。だがそれで傷つくのは無力な一般市民
ブリタニア軍は強力で、到底日本の抵抗勢力が敵う相手とは思えない。だったら、と彼は名誉ブリタニア人に、軍人になる事を選んだ
そのカツミが・・・何故
「どうして?・・・解らないか?」
「・・・・」
「決まっているだろう・・・・復讐だよ・・・・ブリタニアに、な」
****
「それで?」
「その日は追い返されて、翌日行った時には誰も居なかった。周囲の人に聞き込みした結果、首都を目指した事がわかった」
「それで戻ってきたんですね」
アレクシスは考え込んだ
藤崎カツミの復讐心が何故ブリタニアに向くのかが解らない
確かに彼は戦闘中に死んだ事にされている。だがそれだけでブリタニアに復讐するなどと口にするだろうか
その疑問をスザクに訊ねると彼は「戦闘中じゃないんだ」と悲しそうに告げた
****
「復讐・・・?」
「そうだ。知ってるだろう?俺が『どうして死んだか』」
「・・・・」
あの時一緒の隊に配属された名誉ブリタニア人の数は32人
そのうち生き残ったのはたった二人
しかしそれは記録されているような「戦闘による戦死」ではない
「俺達を人とも思っていないブリタニア人。奴らの道楽の為に・・・俺達は・・・」
突然連れてこられた広い場所。昔はここで様々なスポーツの競技が行われていた場所
そこに自分達32人が放り込まれた。そこには剣や槍といった武器が用意されていた
そして上司から「殺しあえ」と告げられたのだ
「二人一組になって殺しあえ。生き残った二人だけ助けてやる・・・だったか?」
「・・・・」
「最後まで生きていたのは俺と俺のぺア。そしてお前とお前のペア」
初めは殺しあうなんて真似出来ないと皆が言っていた。しかし、自分達は銃を持ったブリタニア軍に囲まれており、目の前の同僚と戦うしかなかった
ペアとは片足を鎖で繋がれており、相手を見捨てて逃げる事もできないし、相手に死なれてはこちらが動けなくなる。だからお互い必死で戦うしかない
そんな中でスザクはたいした攻撃をすることなく、ただ避けるだけだった
そんな彼の行動をペアの人間は怒鳴りつけていたが、仲間を、誰かを手にかける事などスザクには出来なかった
そして残ったのは四人
意外と時間がかかった・・・と上司やそれを楽しんでいた貴族らしい人物から「飽きた」ととれる声が聞こえた
そして一丁の銃が四人の前に投げられた
銃
殺傷能力が高い武器
それさえあれば自分は助かる
スザク以外はそう思った
そして奪い合った。一人が握れば他の二人がそれを奪う
そんなやり取りが五分くらい続いた頃、ころん・・・と簡単にそれはスザクの手に収まった
「だがお前は撃たなかった。撃ったのはお前のペアだった男」
銃を持ったまま硬直するスザクから銃を奪い、目の前の敵、つまりカツミとそのペアに向かって銃を二発撃った
そして彼らは死に、スザク達は生き残った
「別にお前を恨んじゃいない。一歩間違えば死んでいたのはお前だったし、撃ったのもお前じゃない」
だが・・・とカツミは続けた
「ブリタニアは許せない。今のブリタニアは昔のブリタニアと違う事くらい解っている。だが皇帝はあの男の息子。この国がブリタニアという国であることには違いない」
「・・・・だから・・・」
「俺はこの国を、皇帝を、奴の血を継ぐ者達に復讐する為にテロリストになった」
****
「そんな・・・酷い事が・・本当に・・?」
「本当だ・・・ルルーシュが皇帝になってナンバーズを解放するまで、本当に酷い扱いを受けてきたんだ」
自分はランスロットのデヴァイサーに選ばれたお陰でそれほど酷い扱いを受けることは無かったが、軍内の底に居る名誉たちはずっと苦しんでいたのだ
「アレクシス、お前はルルーシュの跡を継ぐ」
「はい」
「難しい事だけど、自分から一番遠い場所にいる人の事も考えてあげて」
もう二度と、こんな悲しい事が起こらない様に
スザクの言葉にアレクシスはしっかりと頷いた
アレクシスを襲ったあの時は・・・とスザクは口を開いた
「きっと皇族の誰かを狙うだろうと思って・・・ちょうどルルーシュの施設訪問があったからさ・・・まさかアレクシスが来てるとは思わなくて」
慌てたけど・・と苦笑する
あの時、スザクが銃を向けていたのは正確にはアレクシスではない
ちょうどアレクシスの後方にレジスタンスが居り、そちらへ照準を合わせていたのだ
恐らくウィンザー卿は気がついていた筈だ。殺気と視線、そして銃口から何処を狙っているかは解った筈である
銃を撃ったのはアレクシスの予想通り足を止める為
そしてウィンザー卿に本当の襲撃者の存在を知らせる為だった
「・・・でも、怪我させちゃったね・・・ごめん」
「良いんです。母上は僕を護ってくださったんですから」
アレクシスはギュッとスザクに抱きつくと、ニッコリと微笑んだ
「・・・ごめんね、ありがとう」
スザクは眠るアレクシスの頬にキスすると、音をたてないように部屋を出て行った
宿を後にし、スザクは目的地に向かって歩きながら息子の事を思った
宿屋の主人にはアレクシスが目を覚ましたら父親に連絡を取るように伝えて欲しいと頼んだ。もしかしたら追いかけようとするかもしれないが、今日ここの地区の片隅で起こる事を主人は知っているようだったので、きっと引き止めてくれるだろう
それに、そもそもアレクシスがルルーシュに連絡を取る必要等無い
カツン
という靴音に気がつき、スザクは視線を前方へ向けた
「・・・やっぱりな」
「・・・」
そこに居たのはラウンズナイン ウィンザー卿
周囲をさぐると大勢の人の気配。囲まれていると理解する
アレクシスは第一皇子。しかも先日暗殺されかかった
その皇子がいとも簡単に宮殿を抜け出し、こんな治安の悪い地区に一人で来れる筈が無い
恐らくアレクシスを囮に自分を誘き出させる作戦だったのだろう
「殿下ならあの宿だ。眠っているからつれて帰るといい」
「私の任務は貴方の身を確保する事でもあります」
「・・・従うつもりは無い」
一歩踏み出すが、周囲の気配がスザクを突き刺すよなものに変わる
「抵抗されるなら、貴方を皇子殿下暗殺未遂、そして誘拐の容疑で捕らえることになります」
「それでも・・・自分は従うつもりは無い。そう陛下に御報告してくれて・・・かまわない」
さらにもう一歩踏み出した時、カチっという銃を構える音が聞こえた
そして隠れていた兵が姿を現した
「致命傷を負わさないのであれば、と銃の使用も許可されています」
「・・・・」
「従ってください、枢木卿」
「断る」
スザクの言葉に一斉に銃を構える音が響いた
チッと舌打ちしながらスザクはどうするか考える
普段の自分ならば強行突破という方法もある。だが今は負傷している身。どこまで動けるだろう
これだけの人数の銃が自分を狙えば、いくら急所は狙われないと解っていても数発で動けなくなるだろう
そうなればスザクの目的は果たせない
どうする・・・とスザクが歯軋りしていると、バンという強くドアを開ける音が全員の耳に届いた
「母上!!」
「!殿下!」
アレクシスの声に全員の意識が彼へと集中した
ただスザクだけはアレクシスに振り向かず、その一瞬の間にウィンザー卿の脇を走りぬけた
「っ!枢木卿!」
ウィンザー卿が気がつき、遠ざかるスザクの背に向けて銃を構えた
それを見たアレクシスが悲鳴をあげて制止の声を出す
「止めろ!母上に手を出すな!」
何人かの軍人に羽交い絞めにされながらアレクシスはそれを振りほどこうと必死で身体を動かした
「・・・・」
結局ウィンザー卿は銃を撃つことは無く、スザクの姿が完全に見えなくなった頃、ため息をはいてアレクシスへと近づいた
「ウィンザー卿!母上を!」
「解っております。しかし殿下は宮殿へお戻りを」
「嫌だ!」と抵抗するアレクシスを無理矢理車に押し込んで、ウィンザー卿は携帯を取り出した
そして電話の向こうの人物にスザクが逃亡した事を告げると、ため息をはきながら通話を切った
****
「・・・は・・・傷が開いたな・・・」
ククっとスザクは自嘲気味に笑った
走った事で傷が開き再び出血し始めた
このままでは動けなくなってしまう
スザクはふらつきながらも立ち上がると、目的地へ、銃声の方向へと向かった
****
宮殿を出る前に目を通した作戦計画書に通りに進んでいるのだとすると、今頃は銃撃戦の真っ只中の筈だった
しかし思ったよりあっさりとレジスタンスは降伏したようだった
次々と護送車に乗せられる男達を見つめながら、藤崎カツミがその中に入っていない事に安堵した
(彼だけは・・・どうしても!)
キッと表情を引き締めるとレジスタンスとブリタニア軍が銃撃戦を行なったであろう建物へと入っていった
上の階で、地下で、まだレジスタンスが抵抗をしているようだった
途中で息絶えているブリタニア兵から無線を奪うと耳につける
聞こえてくる兵士達の会話から、まだ上の階にレジスタンスの中心人物が残っているという情報を手に入れる
どうやら日本人らしいという事から、それがカツミだと確信したスザクは上の階を目指した
「・・・枢木か」
「はい」
ブリタニア軍もレジスタンスの姿も他には無かった
ゆっくりと近寄るスザクにカツミは振り返った
「・・・」
「俺達は騙されていたと言うわけだ・・・ブリタニアに」
そう。今回彼らが首都に集められたのは全てジノの作戦
彼らを倒す為の・・・
「だが俺は死なない。捕まったりもしない」
ブリタニアに復讐するまでは、とカツミはニヤリと笑う
スザクは五メートル程の距離を開けて止まり、ジッとカツミを睨みつけていた
「お前は俺を殺せないだろう?」
「・・・」
「昔からそうだったものな。他人が傷つくのを極端に嫌う。」
スザクが敵に対しまず降伏を勧告することは有名だ
出来る事なら殺したくないという意思の現われ
「嘗ての仲間の俺を、お前は殺せない・・・・だが、俺は殺せる」
かちり とスザクへと向けられる銃口
それでもスザクは睨むだけで他には動かない
「・・・自分は・・・」
「なんだ?命乞いか?」
「僕は確かに他人が傷つくのが嫌だ。僕が死んで誰かが助かるならそれでもいいと思っている」
掃討作戦があると知って、その中にカツミの姿を見つけて、生きていることへの驚きと喜び。そして本当に生きているのならレジスタンスから離れるように言うつもりで会いに行った
「だが・・貴方は僕に言ってはならない事を言ってしまった」
「・・・言ってはならない事?」
俺はこの国を、皇帝を、奴の血を継ぐ者達に復讐する為にテロリストになった
「皇帝は・・ルルーシュは子供達は僕の大切な家族!死なせはしない!」
「っ!」
スザクはカツミへと銃口を向けた
一瞬怯んだカツミだったが、すぐにフッと笑う
スザクに自分を撃てる筈がない。そう確信していたのだ
「お前に俺が撃てる筈が」「撃てます」
スザクの目に迷いは無かった
本気なのだとカツミは悟った
「っ枢木!」
「守る為に、僕は貴方を殺しに来たんです」
スザクの本気を悟ったカツミは慌てて引き金の指に力を入れた
だがそれよりもスザクの方が早かった
パン という乾いた音。そして次に何かが地に伏せる音
スザクは物言わなくなった藤崎カツミを見つめた
初めは確かに救う為だった
本当に生きていたというのなら今度こそ穏やかに平和な世を生きて欲しかった
理不尽な命令で殺しあった自分達
死なせてしまった罪悪感が心に棘となって突き刺さっていた
彼らは生きていても良かった筈だ
大罪を犯した自分よりももっと彼らはこの世界に生きるべきだったのに
けれど自分はともかくルルーシュ達を殺すと彼は言った
それはどうしても許せる事ではなかった
「貴方は知らない。今の僕は大切なものを守る為なら・・・国一つだって滅ぼしてみせる」
さよなら と最後に声をかけてスザクは踵を返した
しかし一歩踏み出した所でグラリと身体が揺らいだ
(拙いな・・・血が・・・足りな・・・・)
視界が黒くなり始め、足は揺らぐ体を支えられなかった
フッと意識を手放しかけた時、誰かに身体を支えられた
「・・・この・・馬鹿」
その声に驚いた
『彼』がこんな所にいる筈がないのに。いや、居てはいけないのに。
スザクの意識は殆んど飛び掛っていた。その薄れゆく意識の中で「ああ・・そうなんだ」と悟った
(最初から、僕は君に見守られていたんだね・・・・ルルーシュ・・・)
****
「 」
「 」
(・・・なんだ?)
スザクは自分の意識が浮上していくのを感じた
自分は眠っており、眼を覚ますのだと解った
だが、それと同時に誰かの気配を感じた。一人じゃない。二人・・・いや、三人だ
誰かがスザクの側にいる。そしてその誰かを自分は知っている
(・・・これは・・・)
そう・・・この声は・・・
「はーはーうーえー」
「まだ起きない?」
「こら!お前達!静かに出来るからって言うから部屋に入れたんだぞ!」
「あにうえのほうがうるさいです」
「僕らの方が静かだよ」
「・・・・お前ら・・・」
大切な、大切な子供達の声
小さな手が自分の手を握っている。まだなにも知らない。世界を知らない手
汚れる事も、その意味も知らない手
これを護りたかった
いや、護った
「・・・・・」
「あーv」
「母上起きた」
目をゆっくりと開けたスザクは自分を覗き込む小さな子供の姿を確認した。そしてそれぞれの名を口にする
「・・・クリスティアナ・・・ディミトリアス・・」
「あにうえー。ははうえが」
「起きたよ」
二人の声を聞いたアレクシスがスザクの近くへと寄った。その目が確かに自分を見ていることに安心したのか、アレクシスはホッと息をはいた
「・・・アレクシス・・・」
「良かった・・・心配してたんですよ、三日も目を覚まさないから」
ギュッと子供達は手を重ねるようにしてスザクの手を握った
スザクはアレクシスの言葉に驚きつつ、いま自分が寝ている所が見覚えがない事に気がついた
「ここは・・・」
「軍病院です。傷が化膿していたらしく、出血も多かったせいか意識の混濁・・・それと熱も高くて・・・」
本当に心配したんだとアレクシスは目に涙を溜めてスザクに告げた
ごめんね・・・と謝り、握られていない方の手を子供達の手の上に乗せた
意識が戻った事で医師らも「もう大丈夫でしょう」とスザクの容態が安定した事を告げた。それに安堵したアレクシスは弟と妹と一緒になって喜んだ
それを苦笑しながら見つめつつ、スザクは再びこの光景を見れて良かったと息をはいた
大切な子供を守る為、ルルーシュを守る為なら何人だってこの手で殺してみせる
誰にも手は出させない
「母上。いつお家に帰ってくるの?」
「あのね、一緒に本を読んで欲しいの」
「いつかな・・・先生が良いよって言ってくれたらね」
早く言ってくれないかなぁ とディミトリアスとクリスティアナはスザクのベットに上がり、両隣に寝転んで話をしていた
スザクがいきなり姿を消した。それだけでも寂しいのに、やっと戻ってきたかと思えば何度名を呼んでも目を開けてくれないのだ
どれ程心配させ悲しませただろう
そう思うと申し訳なくて、子供達が愛しくてスザクはずっと二人と手を繋いでいた
その光景を羨ましそうに見つめるアレクシスを少しだけ無視してスザクは二人と話を続ける
「父上がね、母上が元気になったらピクニックに行こうって言ったんだよ」
「ルルーシュが?・・・じゃあ、ルルーシュにお弁当作ってもらわないとね」
「父上のご飯、美味しいの」
「僕は卵焼きが大好きだなぁ。ルルーシュ、上手なんだよね」
「私も大好き」
「僕もv」
「僕だって大好きですよ!僕を無視しないでくださいよ!」
クスクスと四人で笑いながら穏やかな時間を過ごした
****
「・・・本当に左右対称だ」
スザクは三角おにぎりを目の高さまで持ち上げて、その見事な姿に「ほ〜」と感心していた
「当たり前だ」
そのおにぎりの製作者・ルルーシュはふふん、と笑った
ルルーシュのおにぎりは見事なまでに正三角形をしており、ノリの位置も何もかも左右対称
それは芸術品と言って良いほどの出来栄えだった
「子供の頃にお前が作った凸凹おにぎり。あれを三角だと言い張ったお前に、いつか『真の三角とはこういうことだ!』と見せたやりたくて修行を積んでいたんだ」
「・・・あ・・・そう」
才能の無駄使いだよなぁ・・・と思いつつ、スザクはおにぎりを頬張った
目の前では先にご飯を食べ終わった子供達が走り回っている
スザク達は以前言っていたピクニックにやってきたのだ
「・・・でも、これであの子達満足なのかな?」
「なにが?」
「だってピクニックって言っても、結局は王宮内じゃないか。ただ普段暮らしてる宮殿から離れた離宮の庭ってだけでさ」
きっと望んでいたのはこういう事ではない筈
どこか遠くへ出かけて遊びたかったに違いない
「これだけでもあいつらは満足さ」
「そうかなぁ・・・?」
「遠出するだけがピクニックじゃない。家族で出かけて弁当を食べて遊ぶ。多分、それがしたかったんだろう」
ルルーシュは腕の中でミルクを飲んでいたフェリックスに「だよな?」と笑いかけた
フェリックスは父親の笑顔よりもミルクの方が大事、と懸命に飲み続ける。そんな息子にルルーシュは、「薄情な」と不満げだった
「それよりもスザク、それを食べたら室内に入れ。外に居過ぎだ」
「え〜?大丈夫だよ。退院したんだし」
「退院ではなく自宅療養だったように記憶しているのは俺だけか?」
本人と子供達、何よりルルーシュが強く希望してスザクは自宅療養ということで家族の下へ戻った
にも拘らず、子供たちは「帰ってきた=元気になった=ピクニック」と判断してしまったらしく、ルルーシュとスザクに「行こう!行こう!」と強請りに強請った
ルルーシュは反対したがスザクが心配かけたお詫びに とルルーシュに頼み込んで行く事となった
そして場所もスザクの体調も考慮して離宮でのピクニックとなったのだ
「もう少しだけ・・・駄目?」
「駄目だ」
「ケチ」
「なんと言われても、駄目だ」
ぷぅっと頬を膨らませてスザクは不満を露にする
ルルーシュはスザクのそんな表情にも臆することなく「駄目だ」と言い切った
「母上〜」
そんな二人の所へアレクシス達が戻ってくる
スザクは笑顔で子供達を迎えると「どうしかしたの?」と訊ねた
子供たちはニコニコしながらそれぞれが一輪の花を持っており、それをスザクへと差し出した
「へ?」
「母上が元気になったお祝いです」
「でーす」
六人いる子供達のうち、歩き回れる五人からスザクは花を受け取る
「ありがとう」
スザクが嬉しそうに微笑むのを見て満足したのか、子供たちは再び走り去った
それを眩しそうに見つめたスザクは、手元の花へと目をやる
「・・・」
「・・・どうした?」
「・・・幸せだなぁって思って・・・さ」
こんなふうに自分の子供達と暮らせる未来があるだなんて思ってもいなかった
父を殺したあの日から自分はずっと暗闇の中にいた
幸せになることなど赦されない
人の親になる事など赦されない
多くの人の命を奪った自分が命を生み出す事などおこがましい
孤独の中で生き、孤独の中で死んでいく
ずっとそう思っていた
しかし今の自分は孤独ではない
幸せで、大切な家族に囲まれて生きている
それもこれもルルーシュと出会ったからだ
彼と出会った事を後悔した日もある
だが今の幸せをくれたのは彼なのだ
「・・・ありがとう・・・ルルーシュ」
スザクは小さく呟いた
ルルーシュは何が、何にありがとうなのかは聞かなかった
無言で微笑み、スザクの肩を抱き寄せた
ありがとう僕と出会ってくれて
ありがとう僕を好きになってくれて
ありがとう僕を愛してくれて
ありがとう僕に家族を与えてくれて
ありがとう
「・・・大好きだよ」
「・・・知ってるよ、馬鹿」
終
反省・・・アレクシスが七歳という時代設定は無理があったかも・・・
元ネタは『BLEACH 〜The Diamond Dust Rebellion〜』
愛するスザクを愛するチビッ子隊長の立ち位置に置き換えて話を作ってみましたv・・・しかし失敗に終わる・・・
う〜ん・・・隊長のカッコ良さがスザクで出せなかった・・・
そしてルルの出番が異常なほど少なかった・・・それもこれもアレクシスという動かしやすいキャラがいる為・・・ルルは皇帝なので動かしにくいんです
↑オマケあります