あなたの『一番ほしいもの』
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冬獅郎は来ない
もしかして任務か?それともあいつも一応隊長だから尸魂界に戻ったとか?あれ?じゃぁなんで副官の乱菊さんはここにいるんだ?
「きっとアンタに会わせる顔が無いって、そう思ってるんでしょうね」
「は?」
そして俺は冬獅郎の『誕生日プレゼントに関するルール』を教えてもらった
「なんだそりゃ?」
俺の誕生日プレゼントに何が良いのか解らなくて、結局買えなくて、それで俺に会わせる顔が無い?おまけにアイツの性格からして暫く会おうともしないだろうって
「そんなことで?」
「アンタにはそんなことでも、あのコにとっては重要なのよ」
特にアンタの誕生日だから
俺のだから・・・
ここ数日冬獅郎の様子がおかしかったのは知ってる
やたらと俺についてきて、俺の見てる雑誌やテレビ番組、食べてるものまでチェックしてた
どうしたんだ?と聞いても、なんでもないと言われ
日に日に落ち込んでいった
全部俺のプレゼントを探すためだったんだ
俺の為だったんだ
「プレゼントなんて俺は要らないのに。気持ちだけで良いのに」
居てくれるだけで良いのに
それを冬獅郎に伝えなきゃ。何も要らないから、ここに居ろって
「冬獅郎、探してきます」
そう言うと乱菊さんはとても嬉しそうに笑った
アンタ、良いオトコになるわよ、だって
「で、そこでアンタに私と織姫からもうひとつプレゼント」
乱菊さんは、冷蔵庫から小さい箱を取り出した
「あのコ探して、これでちゃんとお祝いしてもらって。きっと良い事があるわよ」
良い事?すっげぇ気になるんですけど
「その為にはあのコがちゃんとアンタの『欲しいもの』かあのコの『贈りたいもの』を渡さないと良いことは起こらないだろうけどね」
「はぁ」
「あのコの『贈りたいもの』って何だと思う?」
冬獅郎の贈りたいもの?
「あのコの『贈りたいもの』はアンタの『一番欲しいもの』」
ま、アタシの想像だけどね
乱菊さんはニッコリと笑った
冬獅郎が『贈りたいもの』は俺の『一番欲しいもの』
そんなの簡単じゃねぇか
俺が欲しいものはアイツしか持ってねぇんだから
そして俺は冬獅郎を探すため、家を飛び出した
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