あなたの『一番ほしいもの』

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7/15 A



冬獅郎は来ない

もしかして任務か?それともあいつも一応隊長だから尸魂界に戻ったとか?あれ?じゃぁなんで副官の乱菊さんはここにいるんだ?



「きっとアンタに会わせる顔が無いって、そう思ってるんでしょうね」

「は?」



そして俺は冬獅郎の『誕生日プレゼントに関するルール』を教えてもらった



「なんだそりゃ?」



俺の誕生日プレゼントに何が良いのか解らなくて、結局買えなくて、それで俺に会わせる顔が無い?おまけにアイツの性格からして暫く会おうともしないだろうって



「そんなことで?」

「アンタにはそんなことでも、あのコにとっては重要なのよ」

特にアンタの誕生日だから



俺のだから・・・



ここ数日冬獅郎の様子がおかしかったのは知ってる

やたらと俺についてきて、俺の見てる雑誌やテレビ番組、食べてるものまでチェックしてた

どうしたんだ?と聞いても、なんでもないと言われ

日に日に落ち込んでいった

全部俺のプレゼントを探すためだったんだ

俺の為だったんだ



「プレゼントなんて俺は要らないのに。気持ちだけで良いのに」

居てくれるだけで良いのに

それを冬獅郎に伝えなきゃ。何も要らないから、ここに居ろって



「冬獅郎、探してきます」

そう言うと乱菊さんはとても嬉しそうに笑った

アンタ、良いオトコになるわよ、だって



「で、そこでアンタに私と織姫からもうひとつプレゼント」



乱菊さんは、冷蔵庫から小さい箱を取り出した



「あのコ探して、これでちゃんとお祝いしてもらって。きっと良い事があるわよ」

良い事?すっげぇ気になるんですけど

「その為にはあのコがちゃんとアンタの『欲しいもの』かあのコの『贈りたいもの』を渡さないと良いことは起こらないだろうけどね」

「はぁ」

「あのコの『贈りたいもの』って何だと思う?」

冬獅郎の贈りたいもの?

「あのコの『贈りたいもの』はアンタの『一番欲しいもの』」

ま、アタシの想像だけどね

乱菊さんはニッコリと笑った

冬獅郎が『贈りたいもの』は俺の『一番欲しいもの』

そんなの簡単じゃねぇか

俺が欲しいものはアイツしか持ってねぇんだから




そして俺は冬獅郎を探すため、家を飛び出した





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