あなたの『一番ほしいもの』
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「どこにいんだよ!」
冬獅郎を探して走る
霊圧を感知する能力の低い俺には冬獅郎を探すのも一苦労
でも、アイツは現世にそれほど詳しくない
この町だって俺が案内した
だから、俺の知ってる場所に必ずいるはずだ
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「今頃どうしてるだろう・・・」
結局プレゼントが買えなくて、どうしようと悩みながら井上の家に帰った
すると誰も居なくて、貰ってた鍵で家に入ると置手紙が
『チャドの家で一護の誕生パーティーをやります。隊長もちゃんと来て下さいね 松本&織姫』
そう言えば昨日そんな事を言っていたような・・・
でも、行けない。だって何も買えなかった
きっと一護はガッカリする。何も要らないよって言ってくれるかもしれない、でも、俺は何かを贈りたかった
手紙を見た後、家を出た
行き先を決めていたわけじゃなかった、気が付いたらここにいた
「皆と楽しくやってるかな?俺もいきたかったな・・・」
ちゃんとオメデトウって言ってやりたかった
「・・・一護」
「呼んだか?」
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どこに行ったのかと思ったら
なんで学校の屋上なんだよ
そういや、毎日ここで昼飯食ってたっけ
ここからこの町を見るの、コイツ好きみたいなんだよな
「・・いち・・ご?」
あ、何でここにって顔してやがる
しかも逃げる気満々だな
「おう、俺だ」
俺は冬獅郎に向かって歩いた
真正面に立って、屈んで目線を合わせる
まっすぐ眼を合わせればきっとコイツは逃げたりしないと思うから
そして俺は乱菊さんから貰った白い箱を目の前に出した
「今日、誕生日なんだ。お祝いしてくんねぇか?」
冬獅郎は顔を真っ赤にした後、うつむいてしまった
そして、小さな声で「駄目だ」と言った
「何が駄目なんだ?俺の誕生日を祝うのが駄目なのか?」
「違う!・・そうじゃなくて・・・」
理由は乱菊さんから聞いて知ってるんだけどな
プレゼントが無いと、どうして誕生日を祝えないって思うんだか
「プレゼント」
「!」
「一生懸命考えてくれたんだよな?」
「・・・うん。でも・・・」
「解らなかった、と」
「・・・」
うわー
落ち込んでるなぁ
俺の為にここまで落ち込んでくれると、なんか嬉しいかも
いやいや、このままでは俺と別れるとか、一生会わないとか言い出しかねない。それは避けたい
「俺が『欲しいもの』をお前に教えちゃ駄目なんだよな?」
「うん」
「でも、お前にはわからない」
「うん・・・俺、恋人失格だよな・・・」
お前の『欲しいもの』も解らないなんて
おわ!まずい!どうする、このままだと
「俺・・・もう、一護の恋人ではいられな「ストーップ!」
やべぇ・・・別れるっつっても俺は別れる気はないけれど、一度でもコイツの口から言われたら傷つくぞ
「いちご?」
「あのな冬獅郎、俺、どうしても欲しいものがあるんだ。でも、お前には言えないんだろ?」
こくこくと頷く冬獅郎
「だったら、俺が勝手に冬獅郎から貰うから。」
「え?」
「『何をくれ』って言わねぇ。言わずに取る
お前はそれを俺へのプレゼントにすればいい
なんたって、俺の『一番欲しいもの』なんだぞソレ」
これならルール違反にならねぇんじゃねぇか?
・・・やっぱ駄目か?
どうなんだ冬獅郎