現世には母の日、父の日こどもの日
様々な記念日、祝日が存在する
そしてそれは尸魂界にも




今日、明日明後日と世の中は三連休
勿論学生である俺、黒崎一護も三連休
といっても何処かへ出かける予定も金もなく、自分のベッドを背もたれ代わりにして雑誌を読んでいた
そしてベッドでは冬獅郎がうつ伏せに寝転んでやはりこちらも雑誌を読んでいる
せっかく俺も休み、冬獅郎も休みという滅多にない機会だというのにどこにも連れて行ってやれない
俺って甲斐性ナシだよな・・・
と今日何度めかの自己嫌悪


「なぁ冬獅郎」
「んー?」
「お前明日も休みだったよな?」
ああ、と雑誌から眼を離さないまま俺の質問に答える
「松本が現世(一護)も連休だからって今日明日明後日と休みをくれた」
さっき話しただろう?と冬獅郎は雑誌のページを一枚めくる

実は冬獅郎はついさっき俺の家にやってきた
『急に三連休になったから遊びに来た』
と言って
恐らく乱菊さんが俺たちのことを思ってくれた休みなのだろうが、急すぎる!
俺としては嬉しい限りだけれど、前もって判っていれば色々計画もできたのに

「じゃあさ、明日と明後日どっか行くか?」
今の俺には金が無い!
だが冬獅郎をかなり気に入っている親父に言えばいくらか援助してもらえそうな気がする
流石に遠くへは無理だけどせっかくの連休なんだし
「ん〜そうだなぁ」
冬獅郎は体を起こしベッドに腰かけた
その時なんとなくなんだろうが、俺の机の上にあったカレンダーを手に取った
「んじゃ、決まりな」
さて、どこに行こうかな
頭の中で何箇所かピックアップする
楽しくなってきてニヤニヤ笑ってしまった俺の隣で冬獅郎が「あ」と言った
「?冬獅郎?」
冬獅郎を見れば先ほどのカレンダーを顔の前にまで持ち上げていた
「どうし「忘れてた!」」
そう叫ぶと冬獅郎は慌てて立ち上がった
そしてポケットから義魂丸を取り出し飲み込むと死覇装姿の冬獅郎が現れた
「冬獅郎!?」
「悪い一護。重要な事を忘れてた。この埋め合わせは必ずする。シロ、後は頼んだ」
冬獅郎はあっという間に行ってしまった
「・・・重要な事ってなんだ?」
「さあ?」




冬獅郎が行ってしまって一時間
なんとなく気に入らない
重要な事ってなんだ?
尸魂界での仕事の事か?
でも今日から休みだし、冬獅郎がいなくても乱菊さんがいるし
じゃあ別のことか?
誰かとの予定を先にいれてたとか?
駄目だ。全く予想がつかない

こんな時はふと考えてしまう

俺は普段の冬獅郎のことをあまり知らない

現世と尸魂界
住む世界の違う俺たち
俺は(死神代行もやってるけど)人間でアイツは死神で
本来なら出会う事なんてなくて
好きになる事も好きになってくれる事もあるはずがなくて

ずっと心に引っかかっている事がある

俺たちの関係って許されるものなんだろうか






「あー!!もーーー!なんだってんだよ!」
暗くなってしまった自分の考えを叫んで吹き飛ばす
「五月蝿いです黒崎さん」
耳を塞いだ状態でシロ(義魂丸)が文句を言う
「あぁ・・・悪い。」
「日番谷隊長の事ですか?」
ちょこんと俺の側に座り込むシロ
俺は頷いて答える
「なら、確かめに行かれては?」
「確かめに行く?」
「ええ。尸魂界に」


「それじゃ行ってくるけど・・・大丈夫か?」
「ええ勿論。」
シロはニコニコと俺に手を振っていた。
「黒崎さんが留守の間、破面は勿論、たとえあの糞狐や変態眼鏡が襲ってきてたとしても日番谷隊長の貞操は命に代えても守ってみせます!!」
「あ・・・うん、頼むわ」
貞操って・・・

なにはともあれ俺は尸魂界へ














                                                                
ギンと藍染ファンの方には申し訳ない表記があります。すみません・・・