「つまらんなぁ」




目の前の虚を一刀両断する

ほら

簡単に倒せてしまう


思ったより自分は強くなりすぎてしまったようだ




「大虚でも出てこんかな?」




近くにいた隊員の耳に入ったのだろう?

ひっと息を呑む音が聞こえた










砂漠に咲く花 序











気がつくと何処か遠くを眺めている子供だった

自覚はしていなかったが、一時共に暮らした幼馴染に指摘されて気がついた


何を探しているの?


と彼女は聞いていたが、本人は探しているつもりも遠くを眺めているつもりもなかったから聞かれても答えられなかった




時が流れ、死神になった


自身の斬魄刀を手に入れ、死神なら誰もが目指すだろう卍解

それを会得するための修行の最中、やっと解った




自分の心は乾いているのだと


例えるなら『砂漠』


どこまでも広がる砂地


なぜそうなったのかは解らない


でも確かに自分の心は乾いている





何を探しているの?


かつて幼馴染に言われた言葉


それはきっとこの砂漠に変化を与えてくれる『何か』


それが何なのかは解らない


けれど求めているのだ



たった一つの



自分を変えてくれる唯一の存在を














砂漠に咲く花 第一話