『初雪』
十二月に入った途端急に寒くなった
大きく胸を出している副官は「寒い寒い」とぼやきながら熱いお茶を啜っている
隊長はお子様で体温高いから気にならないでしょ となにやら言ってきたが無視して仕事を続けた
そのうち外から楽しそうな声が聞こえてきて窓の方に眼をやった
副官もそれに気がついたらしく、二人で外を覗き込んだ
外には十一番隊の草鹿と同隊の死神が数人
空に手を伸ばし笑っている
何だろうと彼女達に倣って空を見上げると
静かに舞い降りてくるものが・・・
「・・・雪・・・ですね」
「・・・・」
今年初めての雪
『白雪』
あの人の声が聞こえた気がした
寒い寒いと思っていたら、とうとう雪が降ってきた
今年初めての雪に
近所の餓鬼どもは大喜びしながら外を走り回っている
俺は雪を見て喜ぶよりも、コタツで温まっていたほうが良いと
家の中から雪を見ていた
「・・・これじゃ積もらないね、お兄ちゃん」
「・・・・そうだな・・・」
同じようにコタツに入り、外を眺めていた妹が残念そうに言う
雪は積もるほど降ってはおらず、所々青空が見えている
すぐに止んでしまうだろう
俺はそれに答えながら眼を閉じる
『・・・黒崎・・・』
雪のむこうにあの子が居れば良いのに
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