あなたの『一番ほしいもの』

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7/14 A



あれから直ぐにルキアと別れて俺は井上宅に帰ってきた



もう浮上出来ないくらい落ち込んでいる





「隊長、明日なんですけど・・・」

さっきから話しかけているけど、全く聞いていないわこのコ

ここ最近、一護の誕生日プレゼントを何にするか悩んでいたのは知っている



雛森が教えた『ルール』の事は知っていたから、いつもは贈られる側がそれとなくこのコにアピール(毎日じーっと欲しい物を眺めたり、ちょっとしたお喋りのなかで強調したり・・・)して『欲しい物』を教えるんだけど、明日の一護にその事を教えておくのを忘れてしまった

プレゼントは気持ちなんだから、隊長の贈りたい物をあげればいいんですよって言ってみたけど、無駄だったのかしら?



「聞いてます?明日、チャドん家で宴会しますから、ちゃんと来て下さいよ?」

「おー」

「隊長?」

「おー」

「・・・チビ」

「おー」

駄目だ

今からでも一護に事情を話して『欲しい物』を隊長に教えてくれるように言うか?

でも、一護がさりげなくこのコに教えられるかしら



確かあれは恋次の時だったか、このコがあの馬鹿のプレゼントを何か良いか悩んでいるってどこかで聞いたらしく、ルンルン気分で執務室にやって来て

「隊長、俺へのプレゼントはコレでいいんで」

と雑誌の一ページを見せて教えてしまった

『本人に聞いては駄目』

ってルールは『自分に本人が言ってきても』あのコの中でルール違反に適用されるらしく、二、三日葛藤し、全く仕事にならなかった



後日、恋次にはそれ相応の処置をしといたけど



またあんな事になったら面倒だし

どうしたものかしら



「俺・・・寝る・・・」

「ぇ!ちょっと隊長」



どよーんとした空気を纏ったまま、隊長は寝床へと行ってしまった

プレゼントが決まっていないままじゃ、明日はきっと来ないわね

おまけに、暫く一護とも会おうとしないだろうし

そうなると酷く落ち込む、はっきり言ってウザイ

一番被害を受けるのは私



「どこまでも手間のかかるコ」


しょうがないわねぇ