乱菊さんから冬獅郎は一番隊でじーさんの相手をしていると教えてもらい、そこへ向かった
「今日は何の用で来たのかな?」
一番隊に入る事の出来る扉の前で京楽さんが酒盛りをしていた
「わりぃけどそこ通してくれない?」
てゆーか退け
今の俺は行く手を阻む者はぶっ飛ばしたい気分だ
キレないうちに退いてくれ
「まぁまぁ、今、山ジィがお孫さん(仮)と楽しんでるんだ。邪魔しないであげてよ」
成るほど。京楽さんは邪魔者が入らないようにここで警備してるってことか
「俺はその孫の一人に用がある。絶対通してもらう!!」
ぶっ倒れた挙句、徹夜までしやがったアイツの所に
「・・・なら、全力で止めさせてもらうよ・・・」
立ち上がった京楽さんの眼から笑みが消える
来るか?
「・・・と思ったんだけど、今回の彼はちょっと酷い状態みたいだから通してあげよう」
「え?」
京楽さんは体をずらし、道をあけてくれた
「えっと・・良いんですか?」
一戦を覚悟していた俺は肩透かしを食らった気分だ
俺が本当に良いのか?と窺っていると、ぽんっと肩をたたかれた
「「休め」と行っても聞かないコだから宜しく頼むよ」
「うっす!」
俺は一番隊隊舎へ
「やぁ、やっと来たね」
「浮竹さん?」
中に入った俺を出迎えてくれたのは浮竹さんだった
つーか、俺がココに来るのは予想されてたのか?
もしかして乱菊さんも一枚かんでる?
「日番谷隊長はこっちだよ」
俺は後について奥へと進む
「・・・彼は自分が子供で、死神としても隊長としても経験が少ない事に常に悩んでいるみたいでね」
「・・・」
「だからせめて書類仕事くらいは我々大人に負けないように、と頑張ってしまうみたいなんだよ」
でも、冬獅郎の能力は実践でも事務処理でも各隊隊長格になんら劣る事はない
そんな事で悩む必要ないのに、と浮竹さんは寂しそうに笑った
「ほら、あそこに居るだろう?」
浮竹さんの指差すほうには中庭があって、そこには確かに冬獅郎とやちる、じーさんがいる
あなり近づくと気がつかれてしまうからと少し離れているが、ここからでも冬獅郎の顔色の悪さが窺えた
「あんなに具合悪そうなのに、なに笑ってるんだよ」
「『笑顔で』って決まってるからなぁ」
だからって・・・あぁ!もう我慢できねぇ!!
「俺、行く」
じーさんの機嫌が悪くなろうが、後で浮竹さん達が八つ当たりされようが関係ねぇ!
「ああ。そうしてくれるかい」
にっこり笑う浮竹さん
この人も冬獅郎の事を心配していたんだ、きっと京楽さんも乱菊さんも
皆が・・・
「冬獅郎!!」
「!?」
「あ〜。いっちーvv」
いきなり現れた俺に驚いて冬獅郎は声も出ないようだった
やちるはその逆で大喜びしているが・・・
とりあえず俺は冬獅郎をこの場から連れ出そうと手を掴んだ
「ちょっと来い!」
「!なっ!バカな事「黙ってついて来い!!」」
逆らおうとする冬獅郎を怒鳴って黙らせ、強引に腕を引っ張った
そんな俺をとめたのは皺の深い硬い手
じーさんだ
「悪い、じーさん。冬獅郎を借りるぞ」
そうして振りほどこうとしたが出来なかった
「・・・放してくれねぇか?」
「無理やりとは感心できんのぅ」
静かにじーさんの霊圧が膨らみ始める
だけど、ここで怯むわけにはいかない
「・・・聞き分けの悪い者にはそれ相応の罰が必要じゃ・・・」
「っ!」
一気にじーさんの霊圧が開放される
・・・すげぇ・・・俺なんて簡単に潰されちまうかと思うくらい、強くて重い
冬獅郎も身動きが出来ないようで、俺の隣で固まっている
俺は気力でじーさんを睨む
するとじーさんはニヤリと笑った
「ワシの霊圧を受けながらなおその様な眼をまだするか」
「・・・相手がじーさんでも引くわけにはいかねぇんだよ!」
「コイツ、今にも倒れそうじゃねぇか!放っておけねぇんだよ!!」
「ふむ・・・確かにの」
じーさんが冬獅郎を覗き込むと、冬獅郎は俯いてしまう
自分では誰にもわからない、大丈夫だと思っていたのだろうか
「じゃが・・・」
じーさんは解放していた霊圧を収め、今は普通のじーさんにしか見えない
「お主、日番谷の身を案じて連れに来るほど仲が良かったのか?」
「・・・」
仲が良いなんてもんじゃねぇよ
俺と冬獅郎は・・・

