「つまり敬老の日に備えて隊長は仕事を片付けてる最中なの」
丸一日総隊長の相手をするんだから確かに仕事は出来ない
真面目な冬獅郎の事だ。その日の分まで前もって片付けそうなのは予想つくけど・・・ちょっと疑問
「でも、冬獅郎は明日も明後日も休みのつもりだったんだぜ?敬老の日の分の仕事はもう片付けてそうなんだけど?」
そう。アイツの性格上、たとえ急に決まった休日だったとしても、休むなら最低限の仕事はやり終えてから休みに入るだろう
「実は、敬老の日の翌日の隊長は使い物にならないの」
「は?」
一日何でも言うことを聞く事
しかも笑顔で
それは冬獅郎にとってかなりの重労働になる
イヤ俺でもそうだろう
敬老の日に精神的にも肉体的にも疲労した冬獅郎は、必ず翌日は寝込む、もしくは一日だら〜として何もやらないらしい
その為、隊長になった時から前もって敬老の日の翌日分まで仕事を片付けるようになったらしい
「ごめんねぇ。冗談で『今日から三連休にしましたから一護とゆっくりしてください』って言ったら、あっっっという間に出て行っちゃたの」
今のは嘘、冗談です。と乱菊さんが訂正する間もなく飛び出したらしい
そんなに俺のところに来たかったのか、と思うと自然と顔が緩んでくる
「直ぐに明後日が敬老の日だって気がついて嘘だって分かるとおもったんだけどね・・・一護、愛は盲目なのねぇ」
「っばっ・・・何いってんスか!?」
どうやら俺たちの話をずっと聞いていたらしい十番隊の連中と乱菊さんに思いきり笑われた
「あのな〜一護ぉぉ」
「っぶねーな!恋次!ちゃんと歩け!!」
結局俺は冬獅郎とは会えなかった
敬老の日翌日提出の書類が多かったらしく、冬獅郎は殺気だって仕事をしているらしい
そんな中、俺が邪魔したら尚更焦ってしまうだろう。ここは邪魔をせず、早く仕事を終えてもらってその後ゆっくりと会うことにした
そして俺は尸魂界に来ている事を知った恋次に連れられて飲みに行っていた
「ったく!酔っ払いめ」
「んだとぉ!俺は酔ってねぇっつーの!!」
「どこが!十分酔ってるよ馬鹿!」
すっかり酔ってしまった恋次に肩を貸しながら夜道を歩く
今日はコイツの部屋に泊めてもらう事になった
それにしても恋次のヤツ、一人で飲みやがって・・・
俺は未成年とか何とかで飲ませてもらえなかった
「おい!お前が寝ちまったら駄目だろ?俺じゃ部屋わからねぇんだよ!」
「ウーーッス!はい〜」
「駄目だ・・・」
恋次はもう殆ど寝てしまっている
このままここに捨ててしまおうかな
部屋の場所はその辺の誰かに聞いて・・・
と、考えていると乱菊さんが紙の束を抱えて現れた
「あら〜恋次ったらすっかり酔っ払ってるわね」
「乱菊さん。まだ仕事してたんですか?」
かなりの枚数のそれはおそらく冬獅郎が片付けたもの
俺が恋次と遊んでる間もアイツは仕事してたのか?
「ええ。でも今日はこれで終わりよ。隊長も自室に帰ったし、私もコレを提出したら帰るわ」
やっと帰れる〜と喜ぶ乱菊さん
ご苦労サマデシタと言うと御免ねと謝られた
「隊長、アンタがココに来てること知ってると思う。アンタの霊圧分かりやすいから・・・きっと今日もこの時間まで頑張ったのは少しでもアンタとの時間を作る為だと思うの。だから・・・」
「分かってますよ。俺、のんびり待ってますから」
きっと明日は少しぐらい会えるよな、冬獅郎

