「やめろって一護!」
恋次の制止の声を無視し勢いをつけ襖を開けた

「あれ?」
開けて真正面にある冬獅郎の机にその姿は無かった
キョロキョロと探してみると机の影から小さな手が見えた
もしかして、と机の後ろにまわってみる
「冬獅郎!?」
そこには床に倒れている冬獅郎
「阿散井!四番隊に連絡!」
「はい!」
俺の後に付いてきていた恋次と修兵が素早く行動する
「黒崎、隊長をこっちへ」
俺は修兵の指差したソファに冬獅郎を運んだ


その後、かけつけた卯ノ花さんの診断は過労と睡眠不足
今日はこのまま休ませれば大丈夫だろうと言われた
俺は冬獅郎を布団に運んでそのまま側についている
知らせを聞いてとんで帰ってきた乱菊さんに『看ていてくれる?』と頼まれたのもあったし、もちろん最初からそのつもりだった
「・・・冬獅郎・・・」
「んっ・・・?」
名を呼んだ声が聞こえたのか、冬獅郎はゆっくりと眼を開けた
「眼ぇ覚めたか?」
「・・・・いちご?」
目覚めた冬獅郎は何故俺が目の前に居るのか、自分は何故寝ているのか全く判らず混乱しているようだった
「倒れたんだよお前。ビックリしたんだぞ」
「え・・?倒れた?」
少し考えた冬獅郎は、意識を失う前に自分がやっていた事を思い出したらしく、勢いよく起き上がった
だが、急に動いたせいか、眩暈でも起こしたのだろう、倒れ掛かる
俺は慌ててその体を支えた
「おいおい。無茶すんなって」
「でも・・・行かなきゃ」
こんな状態でも仕事をやろうとする冬獅郎に俺はため息を吐いた
「乱菊さんと十番隊の皆からの伝言」
「え?」
「後は私たちで全部やっちゃいますから、隊長は寝ててくださいね。だってさ」
本当は『寝てて』の部分が『らぶらぶしてて』なんだけど、流石にそれは本人には言えない
「だから今日はゆっくり休め、な?」
伝言を聞いた冬獅郎の表情はとても辛そうだった
「駄目だ」
「何で?」
「俺の仕事だ。俺のやらなくてはならない事だ」
「だけど調子の悪いときは仕方ないだろ?」
「俺は隊長だ。義務と責任がある」
「そうかも知れないけど、一人で何でもかんでもやらないで部下をたよったら良いだろ」
「お前には関係ない!」


関係ない
突き放された気がした
「おっお前は護廷の死神じゃないだろ!口出しすんな!」
なんだよそれ
「冬獅郎の体のこと心配して言ってんだ。護廷がどうとかそれこそ関係ないだろ!」
ムカつく
「心配してもらわなくて結構だ!それと!」
「んだよ?」
「ここでは『日番谷隊長』だ!」
今更何言ってんだ
「何でだよ?どっちもお前なんだから良いだろ?」
「良くないから言ってんだよ!」
「俺は『護廷の死神じゃない』んだからそれはできませーん」
「!だったら出て行け!二度と俺の前に姿見せるんじゃねぇ!!」
「!あーそーですか!もう二度と会わねぇから安心しろ!」

俺は冬獅郎の部屋を後にした

本当はもっと言い争いするはずだったのに・・・あっさり切り上げちゃった